「ロックダウン解除を」猛烈抗議の米男性 皮肉にも新型コロナで逝く
新型コロナウイルスで47,000人を超える死者が出ている米国。しかし、「感染なんて怖くない」と叫ぶ人々の姿が目立ってきた。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のパンデミックに、世界各地で人々はじっとロックダウン(都市封鎖)に耐えている。しかし今のアメリカで少しずつ目立ってきたのは、「ウイルスなんて怖くない。ロックダウンを解除しろ」などと叫ぶ人々の姿だ。
■ロックダウン抗議中に感染
米国オハイオ州のマリオン郡でここ1ヶ月にわたり、州知事に対して何度も「ロックダウンを解除せよ」と訴えていたジョン・マクダニエルさんという60歳の男性。
なんとも皮肉なことに、彼は2週間ほど前に新型コロナウイルス感染症に感染した。コロンバスの病院に入院するも重篤化し、今月15日に死亡。妻と2人の子供がいたという。
■感染を恐れなかった男性
オハイオ州知事のマイク・デワイン氏のロックダウン宣言に対し、「すべての教育機関、バーやレストランが閉鎖だなんて、ふざけるな。そんなことを決める権限なんて、あるもんか」「病気になるのが怖いって、そんなに心配なら外出しなきゃいいだろ」「我々には好きに生きる権利がある。邪魔するな。この狂った状況、早くなんとかしてくれ」などと抗議していたマクダニエルさん。
ロックダウンがもたらす不自由さに耐えられなかったようだ。
■苛立ちを爆発させる人々
アメリカでは先週から、テキサス州、フロリダ州、ワシントン州ほか米国各地の州議会議事堂前などを中心に、経済活動の再開を求める、あるいは外出の自由を求める人々などが結集。いわゆる「三密」状態で抗議集会やデモ行進を繰り広げている。
彼らはそれぞれが書いた「Set Us Free(自由にさせてよ)」「Live Free or Die(自由に生きるか、それとも死ぬかだわ)」「Stop the Fear(もうこの恐怖は終わりにしてくれ)」といったプラカードを掲げており、訴えたいことは参加者の数だけありそうだ。
■ここまでの努力が水の泡に…
新型コロナ・パンデミックの1日も早い収束をと願い、ほとんどの米国民はロックダウンを真剣に受け止め、辛抱強く自宅で過ごしている。仕事、学業、商売などの大きな悩みに加え、閉塞感、恐怖、不安、虚無感、絶望感などが大きなストレスになっているのは誰もが同じだ。
新たな感染者の数が減るなどピークを過ぎた印象があるいくつかの州では、経済再開の時期や段階についての議論が盛んに。だが専門家からは「ここで焦ってはいけない。今までの努力が水の泡になる」と慎重論も相次いでいる。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)