新型コロナ、じつは中国南部で昨年9月から静かに流行か 英・研究チームが新説

武漢肺炎とも呼ばれていた新型コロナウイルス感染症。しかし「中国の南部でより早くから」という説が新たに登場した。

2020/04/21 09:40

ウイルスの研究
(gorodenkoff/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

新年早々、世界を飛び交った「中国で原因不明のウイルス性肺炎患者が続出」というニュース。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)については「湖北省の武漢市で12月にアウトブレーク」という説が有力だったが、そこに新説が加わり、大きな注目を集めている。


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■昨年9月すでに中国南部で?

英国ケンブリッジ大学で遺伝学が専門のピーター・フォースター博士率いる研究チームが、「新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)が、じつは中国南部でより早い時期から発生していたと考えられる」と論じ、話題になっている。

昨年9月に広東省を中心とする中国の南部で発生していた可能性があり、世界初の症例は昨年11月17日に肺炎を発症した湖北省在住の55歳の患者である、という説をも覆すものとなったようだ。

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■ウイルスは3タイプに分類

欧州のある共同プロジェクトのチームリーダーを務め、新型コロナウイルスの遺伝子型について研究を進めているフォースター博士。

チームは国際データベースに登録されている新型コロナウイルスの全遺伝情報(ゲノム)を解析し、最近になってPNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America=米国科学アカデミー)に「ウイルスは3タイプに分類される」と発表していた。

中国南部の広東省、オーストラリア、日本や米国の一部で流行しているのはタイプAで、Aが突然変異を重ねて武漢市や東アジアで流行したのがタイプB。さらに、欧米やシンガポールで猛威を振るっているのはBから派生したタイプC。これは中国本土では確認されていない型だという。

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■最初の数ヶ月はおとなしく?

こうした結果から、フォースター博士の研究チームは「新型コロナウイルスは、中国南部で昨年9月13日から12月7日の間にすでに発生していた可能性がある」と主張している。

ウイルスは突然変異を重ねることで宿主からヒトへの感染を遂げ、ヒトからヒトへの伝播が始まる。ある時に急速な感染拡大を見せて騒動になった新型コロナウイルスも、最初の数ヶ月は広がりも静かなものだったことが考えられるという。


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■発端者の特定が課題

フォースター博士と研究チームは、再度のアウトブレークを許さないためにも、残る大きな課題は「発端者を特定すること」だとも論じている。

チームは、コウモリを含む宿主と考えられてきた動物たち、そして中国の複数の病院に保存されている1,000人以上の肺炎患者から採取されたウイルスの全遺伝情報(ゲノム)を、すでに解析したという。しかし、研究は今後も続く模様だ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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