新型コロナ無症状30歳女性、CTスキャンで両肺に陰影 家族の死で偶然発見
新型コロナウイルスに感染した場合、仮に無症状でも肺はそれなりのダメージを負ってしまうということか…。
若い人々を中心に、症状がほとんど出ないまま周囲の人々にうつしてしまう感染例が急増している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)。しかし、無症状イコール無事と解釈するのはいささか安直すぎるのかもしれない。
■無症状のことも多い若年層
若年層の新型コロナウイルスの感染においては、まったくの無症状、あるいは風邪を引いたかのような症状のみという人がとても多い。
ある日いきなり家族が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)を発症し、そこで自分こそが新型コロナウイルスを家庭に持ち込んだ最初の感染者だったことに気づく、そんな事例も実際に増えているという。
■「すりガラス陰影」を確認
そんな中、このほどイランの放射線科医であるバーラム・ラスリ博士が国際共同放射線教育Webリソース『Radiopaedia』に興味深い画像を提供し、波紋を広げている。
新型コロナウイルスに感染するもまったく症状が現れないという30歳の女性の肺に、胸部CTスキャンによりいわゆる「すりガラス陰影」が見つかったというのだ。
■家族の死で不安に
ラスリ博士により共有された画像からは、モヤモヤした白い影が両肺に少しずつ見て取れる。左右ともに影が現れるのも新型コロナにみられる特徴のひとつだ。
この女性は家族が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)を発症し、重症化して死亡。ウイルス検査で自身の陽性も判明し、息苦しさも発熱もなく健康そのものだったが、医師に強く頼み込んで胸部も検査してもらった。現在は入院中で、しばらく観察が続くという。
■甘く考えている若年層への警鐘
『Radiopaedia』には、世界の放射線科医が投稿した新型コロナ肺炎患者のCT・X線の画像が多数紹介されている。だが、基礎疾患もなく無症状という若年層のウイルス陽性者に、このように胸部CT検査が行われることは世界的にもまずないという。
その画像は、新型コロナウイルスに感染すれば、たとえ無症状でも肺にはそれなりの炎症がもたらされるという事実を教えてくれた。たいした症状が出ないか無症状で済む、そんな風に考えている人々にとっては貴重な警鐘となることだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)