「動物たちを殺してエサに」 休園続くドイツの動物園で始まった命の選択
新型コロナウイルス感染症の大流行で、休園が続いている世界各地の動物園。民営の動物園は収入の激減でここまで深刻な状況に陥っていた。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の蔓延で、世界各地の動物園が休園を余儀なくされている。入場料収入が途絶え、存続の危機に立たされている民営の動物園も少なくない。
そこで問題になるのは、動物たちの食糧不足だ。
■痩せて餓死する動物たち
痩せて骨格が浮き出た動物や餓死した動物の様子が、痛ましい写真や動画とともに海外の動物園からひんぱんに報じられるようになった。
インターネットなどを通して善意の人々から寄付金も集まってはいるが、1日に大量の肉を摂取しなければならない動物もおり、食糧難は進む一方。ショッキングな共食いも起きていると伝えられていた。
そんななか、ドイツ北部の動物園では新たに苦渋の決断を迫られていることがわかった。
■休園で入園料が途絶える
シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州にあるノイミュンスター動物園の園長が『ディ・ヴェルト』紙の取材に応じ、ロックダウンによる休園で収入が激減したため、動物たちが深刻な食糧難に陥っていることを訴えた。
本来であれば春には日本円にして約2,000万円の入園料収入が見込まれるが、現在はゼロであるうえ、同動物園はドイツ政府による中小企業向けの緊急助成金の対象ではないという。
■苦悩の「線引き」
苦境に立たされたノイミュンスター動物園は、残したい動物・殺してもよい動物という「命の線引き」が始まっているという。
飼育員たちが愛情を持って飼育してきた動物を殺さなければならない理由は、その亡骸を他のエサにするためだ。園長は餓死という見殺しにするのではなく、「せめて安楽死させてあげたい」と話している。
■引き取り手を探すのは困難
この動物園は、体長が304センチもあるドイツ最大のシロクマなどが人気を集めている。従来であれば、経営難に陥った動物園の動物には新しい引き取り手が現れるものだが、現状では世界のどの動物園においてもそれを期待することは難しい状況だ。
ドイツの全動物園が今、日本円にして計117億円ほどの緊急助成金を要請したいとして、共同で政府に働きかけている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)