60代“一般人”男性が戦闘機初体験の上空でパニック 緊急脱出し大騒動に

フックひと引きで国防省と空軍、そして隣国ドイツに迷惑をかけた男性。退職祝いがまさかこんな騒動になるとは…。

2020/04/18 09:20

戦闘機
(Ingram Publishing/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

昨年3月、フランスの空軍基地を飛び立った2人乗り戦闘機の後部座席がいきなり緊急脱出モードに切り替わり、射出座席が空中に投げ出されるというインシデントが発生していた。状況全体が明らかにされ、乗っていた人物の年齢などが関心を集めている。


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■さっそうと戦闘機に…

フランス航空事故調査局が明らかにしたところによると、問題が発生したのは、昨年3月20日にフランスのサン=ディジエ空軍基地を飛び立った1機。

95億円もする戦闘機で、操縦していたのは飛行経験が2,000時間の35歳のパイロット、後部座席に乗っていたのは、定年退職祝いに体験飛行をプレゼントされた64歳の一般人男性だった。

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■猛スピードで47度の機首上げ

男性は簡単な説明を受けた後、パイロット姿で戦闘機に乗り込んだが、訓練ひとつ受けていない彼には強烈すぎる体験だった。

一般旅客機の離陸時の機首上げは10度から15度ほどだが、その戦闘機は47度も上がり、男性はその時点でパニックに。762メートル上空で股下の緊急脱出用ハンドルを引き、機体から放たれた射出座席はロケット噴射により勢いよく上空へ放たれた。そして、ドイツ国境に近い野原に落下してしまった。

重力加速度の負荷によるブラックアウトを防ぐためにはいていた「耐Gスーツ」はゆるみ、、ヘルメットも酸素マスクも吹き飛んでいたことがわかっている。

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■恐怖のせいか勘違いか

男性は軽傷で済んだとはいえ怯えきっており、調査委員の調べに対し「離陸してすぐに恐怖のあまりパニックに陥った」と説明。さらに「自分の態勢を直そうと思った」とも話しており、自動車のシートを調整するレバーの感覚で、緊急脱出用のハンドルを引いたとも考えられる。

いずれにせよ、戦闘機に関する基礎的な知識や射出座席の仕組みなど、安全面の説明が事前にしっかりと行われていなかった可能性が強く指摘されている。


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■男性は国のVIP

戦闘機の操縦かんは、厳しい身体検査をパスし、きわめて難しい座学や飛行訓練のテストに合格した超エリートだけが握ることができる。体力的に40歳でも乗れるパイロットはわずかだという。そのため「60代の民間人を乗せる戦闘機の体験飛行サービスなど許されない」という声も上がった。

同時に「一般人」と思われていた男性の身元が、国防省の要請を受け、フランス空軍も承認せざるを得ないVIPだったことも明らかになったため、また新たな物議を醸す可能性がありそうだ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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