南米・新型コロナ蔓延で段ボール製の棺も 遺棄された死体も放置
こんな悲しい最期、みじめな見送りなんてあってよいものか。隙間ができ、形がゆがんだダンボール製の棺に遺族たちは絶句している。
大災害・大事故などでいっきに大変な数の死者が出ると遺体を納める棺が足りなくなる。日本はこれを東日本大震災で経験していたが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)が大流行の今、世界各地で同じ問題が起き始めている。しかし、まさかの段ボールで代用とは…。
■南米では最悪の状況
12日午後1時現在、7,200名を超す新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者と315名の死者が確認されている南米エクアドル。南米ではこの国が特に深刻な状況にあると報じられてきた。
首都のキトに続く第二の都市、グアヤキルの市でも新型コロナウイルスによる感染者と死者が急増。保健当局は「病院も遺体安置所も定員オーバーだ」と話している。
■立ち尽くす遺族たち
そんな中、グアヤキル市では現在、各遺体が段ボール製の棺に納められて遺族の引き取りを待つようになっている。
棺は刑務所で受刑者たちがこしらえグアヤキル市に計2,000ほど寄贈したもので、簡素な作りゆえ蓋がしっかり閉まらず隙間が空いている棺や、水に濡れふやけてしまった棺も。その様子に遺族は愕然とし、嘆き、あるいは激怒して市や政府に抗議している模様だ。
■立ち上がった山間の村
ダンボール製の棺に頼らざるをえなくなった理由として、ロックダウンによる厳しい外出禁止で棺の製造がストップしてしまったことが挙げられていたが、それを知り立ち上がったのは、エクアドル中部に位置するトゥングラワ県のアンバトという村だった。
その村には環境省が「森林保全活動の一環」という名目で押さえている高級木材が保管されており、彼らは「死者に敬意を払うためにも、その木を使って棺を作り寄贈したい」と発表。数日中にはグアヤキル市のあるグアヤス州に届くであろうという。
■通りや病院の外に横たわる遺体
6日以降、3,700人を超える新型コロナの感染者と191人の死者が確認されるなど、国内の状況がいっきに悪化したエクアドル。レニン・モレノ大統領は「今後さらに増えるものと考えられる」と国民ひとりひとりに警戒を呼び掛けている。
通りや病院の外には体調を崩したままそこで亡くなったとみられる人、住民により遺棄された遺体などが放置され、すでに150体以上が回収されているという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)