アマゾン先住民族で若者が続々と新型コロナに 免疫力が弱く多くが重症化か

かつてアマゾンの多くの先住民族を絶滅の危機にさらしたのは、はしかやマラリアだった。今の彼らは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)との闘いを強いられている。

2020/04/12 08:40

ヤノマミ族
(atlantic-kid/iStock Editorial/Getty Images Plus/写真はイメージです)

ついに11日午後4時の時点で170万人を超す感染者と、10万人を超す死者が確認された新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)。世界の5大陸に広がっているこのウイルスは、すでにアマゾンの奥地にも及んでいたようだ。


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■口元の細長いピアスで有名

ブラジル・アマゾナス州の熱帯雨林に暮らす、フェイスペイントや鼻・口元の細長いピアスで有名な「ヤノマミ族」。

4月3日に新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)を発症したヤノマミ族の15歳の少年が、症状が特に重いとしてロライマ州にある病院の集中治療室に運ばれ、少年以外にも7名以上が発症して治療を受けていることをアマゾナス州当局が発表した。

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■コカマ族やチクナ族も

アマゾナス州では85万人ほどの先住民族が300以上の部族に分かれて暮らしている。そんな中、新型コロナの最初の感染者が確認されたのは1週間前のことだった。

1人の医師からクラスターが発生した、サント・アントニオ・ド・イサ地区の医療機関に勤務する「コカマ族」の20歳の女性で、彼女の親族7人も自主隔離を続けている。また、その病院に入院していて感染した患者のうち12名は「チクナ族」の人々だという。

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■脆弱な免疫系と森林火災と

栄養の偏りや貧血の問題を抱えている子供も多く、免疫系が脆弱でウイルスや細菌に弱いとされる先住民族たち。医療も行き届かないなか、共同生活のせいで病気があっという間に流行するため、はしかやマラリアと同様、呼吸器感染症の流行は部族の絶滅につながると恐れられてきた。

また長引くアマゾン森林火災で、多くの人が呼吸器にダメージを負ったとも考えられている。もしも新型コロナに感染すれば、肺炎の重症化は避けられないとみる専門家も少なくない。


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■保護区で増える不法侵入

20世紀半ばまでは完全なる隔離が保たれていたが、ヤノマミ族の保護区に関しては近年、金の違法な採掘を目的に何千という白人が侵入していると報じられている。

なおアマゾナス州全体では900人超の新型コロナ感染者を確認。保健当局は「重症肺炎は州都マナウスの病院でしか対応できず、集中治療室はすべて満床。人工呼吸器も空きがない」と発表している。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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