大型客船から乗客5名が海に身を投げる 新型コロナ発生の情報でパニックに
混雑し、逃げ場のない公共の乗り物では特にパニックが発生しがちだ。
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)が世界的に蔓延する今、誰もが不安や恐怖を抱えながらも仕方なく公共の乗り物に乗り込んでいる。特に飛行機や大型客船には「何かあってもすぐには逃げられない」という共通点がある。そんな中、インドネシア沖で…。
■恐怖で人はここまでする
インドネシア東カリマンタン州のタラカンを離れ、マサッカル海峡を南下する国営船舶会社の大型客船「KMランベル号」。このほど233人の客を乗せ航海中だったランベル号の甲板から、乗客5名が次々と海に身を投げた。
「乗組員3名が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判明」という情報が流れたことがきっかけだったといい、感染の恐怖からパニックに陥った人々の衝動的な行動や切羽詰まった心理に関心が寄せられている。
■コロナ発生で事態は急変
ランベル号の乗客のほとんどが、カリマンタン島(ボルネオ島)を共有するマレーシアのサバ州などで出稼ぎをしていたインドネシア国籍の人々で、もしもの感染に備えるため故郷に戻りたいという人で客船は混雑していた。
彼らの下船が予定されていたのは東ヌサ・トゥンガラ州フローレス島のマウメレ港。しかし新型コロナ感染者が現れたことで、「港側がKMランベル号の停泊を拒否した」との情報が流れたという。
■「今すぐ逃げ出したい」と乗客
乗客の間ではパニックが発生し、「今すぐ下船したい」と訴える乗客5名が次々と海へ。目撃者が彼らに向かって救命胴衣や浮き輪を投げ込んだため、命を落としたものはいない。
そんな船内のパニックを知り、運輸省海運総局がランベル号に対しマウメレ港への停泊を許可。乗客に対しても「皆さんの安全を第一に考えています。どうか落ち着いてください」と何度も呼びかけられたという。
■客船に乗り込む医療スタッフ
続いて防護服姿に身を包んだ医療スタッフが次々とランベル号に乗り込み、乗客および乗組員全員に対しウイルス検査を行った。
同時にマウメレ港からすぐの「シッカ・コンベンションセンター」が宿泊体制を整え、全員が客船からそちらに移動。検査結果が出るまで1週間そこにとどまるよう指示されたという。
・合わせて読みたい→香港発クルーズ船・ウエステルダム号 新型コロナ検査で邦人乗客4人は陰性
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)