受刑者がコロナ犠牲者の大量の棺を… NY市の共同墓地にドローン潜入
ニューヨーク市の小さな島にある共同墓地。そこに今、家族に連絡がつかない新型コロナウイルスによる死亡者の棺が、次々と運び込まれている。
新型コロナウイルスで無念にも命を落としてしまう大勢の人たち。日本時間の11日6時現在で、感染者数493,000人超、死者18,300人超という米国では、国民全体が喪に服すかのような深刻さだと伝えられている。
■引き取り手がない遺体
ニューヨーク市シティ島をまたぐブロンクス区の東端、ハート島(Hart Island)。ここには低所得層やホームレスなど、身寄りも引き取り手もない100万超の遺体が埋葬されている、国内最大の共同墓地がある。
そんな墓地に今、新型コロナウイルスに感染しても家族と連絡がつかない、さまざまな事情で葬儀や埋葬が行われないといった人たちの遺体を納めた棺が、次々と運び込まれているという。
■巨大な穴に落とされる棺
ハート島は、過去には捕虜収容施設、ミサイル基地、精神科病院などに利用され、現在はニューヨーク市矯正局が管理・運営する共同墓地と化している。そのため、許可証を持つ人々だけがボートで行き来できる離れ小島だ。
そして現在は、新型コロナウイルスで亡くなった人たちの遺体が1日あたり20~25体ほどボートで運び込まれ、トラックの荷台から降ろされた棺が巨大な穴に積み重ねられていく。その作業を、受刑者たちが行っているのだ。
■受刑者は軽装で作業
受刑者たちの作業の様子を、「一般人立ち入り禁止」という墓地の現状に抗議してきた非営利団体『Hart Island Project(ハート島プロジェクト)』がドローンで空撮し、その写真が世界に公表された。
搬送担当者や刑務官と見られる人たちが白い防護服に身を包んでいるのに対し、写真では受刑者が軽装であることがわかる。
ニューヨーク市矯正局は「亡骸は遺体収納袋に詰められ、松の木で作られた棺に納められている」と説明しているが、万が一受刑者が感染した場合は、刑務所内での感染拡大が懸念される。
■遺族は6日以内に引き取りを
「のちに引き取り手が現れることを考え、わかる場合は棺の脇に氏名を明記している」とも話す市矯正局。共同墓地は今、引き取り手が6日以内に現れない場合の一時的な遺体収容所にもなっているそうだ。
路上で突然死したが身分を証明するものを持っていない、家族も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症している、あるいはニューヨークから遠い地にいるなど、現状ではすぐに遺体を引き取りに来られない理由がさまざまに存在するはずだ。
身寄りが不明な人々の亡骸を納めた棺が、受刑者によって穴にドスンドスンと落とされ、踏みながら積み重ねられていく。その光景に「あまりにも物悲しい。憤りを覚える」という声も上がっている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)