「優しかったあの人が…」 新型コロナで人格変貌した客に悩む店員の声
新型コロナウイルスへの恐怖が、親しい客の人間性をまで変えてしまったのか。
新型コロナウイルスへの予防策として、マスクやトイレットペーパーの買い占めと完売が続く現状。ドラッグストアやスーパー、ホームセンターなどの店員から、客の不満の矢面に立つことへの精神的負担を嘆く声が後を絶たない。
しらべぇでも店員と客のトラブルの数々を伝えてきたが、店員側の立場にさらに踏み込んで調査してみると、状況はもう一段階悪化していた。
■5割が客のタメ口にイラッ
店員が客に対して敬語を使うのは、接客マナーの常識のひとつと言える。それに対し、特に親しいわけでもない客がいきなりタメ口を使ってくれば、ついイラっとしてしまう店員がいても仕方がないだろう。
そこで、しらべぇ編集部では、全国10代〜60代の男女のうち接客業経験がある981人に「タメ口で接してくる客にイラッとしたことがある」かの調査を実施。
「ある」と答えた人は全体の47.0%と、半数以上の人が平穏な接客ができていることがわかる。
■20〜30代の女性がタメ口の標的か
しかし性年代別の結果からは、接客業の現状が見えてきた。
30代女性が最も多く55.9%、20代女性も53.3%と高めの結果であり、女性の中でもこの二つの年代が抜きんでている。
若い女性店員がにこやかかつ穏やかに接客すれば、悪意はなく親しみを込めてタメ口を使う客もいるかもしれないが…。当の店員側は、やはり「イラッ」としているようだ。
■客の人格が変貌
さらにドラッグストアなど衛生用品を扱う店の20~30代の女性店員に話を聞くと、彼女たちを苦しめているのは単なるタメ口ではないことも判明した。
「店に入るなりレジに突進して来て、『マスクは?』『どうせないって言うんだろ!』と、高圧的にまくし立てられた」(20代・女性)
「顔を見るなり『トイレットペーパーどこよ!』って怒鳴られて…。店内を見渡して、数人いる店員から私を選んで言ってきた」(30代・女性)
「マスクに続いてトイレットペーパーまで売り切れるようになったら、優しかった顔なじみのお客さんが、人が変わったように怒鳴りつけてきた」(30代・女性)
新型コロナウイルスを恐れるあまり、客のタメ口が暴言・暴挙へと悪化。しかも「優しかった」はずの常連客の人格まで、恐ろしいものに変貌させてしまっていたのだ。
■店員も客も立場は同じ
悪意があろうとなかろうと、日常的に他者の言葉で傷ついてしまう人は多い。その中でも衛生用品の販売に携わる店員は、ウイルスのみならず客にまで脅威を感じて生活する日々だという。
「店に電話がかかってくると、昨日と同じお客さんがマスクの補充状況を聞いてくるのかなって、憂鬱になる。マスクが足りていないのは私たちも同じなのに」(20代・女性)
「ウイルスと一緒にお客さんに責められる悪夢を見た」(30代・女性)
危機的状況にあるのは店員側も客側も同じ。衛生用品の不足は、決して店員の責任ではない。精神面では支え合える仲間として互いに冷静になる努力をし、気持ちのいい買い物をしたいものだ。
・合わせて読みたい→トイレットペーパーを買おうとした妊婦 近くの客の言葉に「悲しくなった…」
(文/しらべぇ編集部・だんの)
対象:全国10代~60代の接客業経験のある男女981名(有効回答数)