日本の新型コロナ危険レベルは現在「2」 五輪開催をかけた正念場か
日本が2020年夏のオリンピックの開催国でなかったなら、新型コロナウイルスへの対策も違っていたのだろうか。
「日本の新型コロナウイルス対策はすべて後手、認識が甘すぎる」…そんな声が国民の間にくすぶる中、日本のオリンピック開催に不安を訴える海外の人々が増えている。5月には開催に関する決断が下される予定だが…。
■今の危険レベルは「2」
新型コロナウイルス感染の世界的拡大を受けて今、海外の人々が大きく注目しているのが、米国・疾病予防管理センター(以下CDC)の公式サイトに設けられた『渡航注意情報(Travel Health Notice)』というページだ。
世界地図において渡航上の問題が指摘されている国は赤、オレンジ、黄色といった色で示され、本文の情報も頻繁に更新されている。2月19日、日本はそのレベル1の「注意」に登録されたが、わずか3日後の22日にはレベル2の「警戒」に引き上げられた。
■春節で大勢の中国人を迎えた日本
「警告」となるレベル3には中国・韓国・イラン・イタリアの4つの国名が並ぶ。日本時間の3月1日午後7時現在、イタリアでは感染者数が1,128名、韓国では3,736名と数だけ見れば日本の256名(クルーズ船除く)よりかなり深刻だ。
だが「そもそも検査してもらえない。オリンピック開催のため感染者数を増やしたくないのでは」といった声がくすぶる日本とは状況が異なる。
両国とも呼吸器疾患で通院、入院中の患者に積極的に検査を行い、病院前などに特設テントを張って検査希望者を広く受け付けているため、感染者数が急増したのは当然だという。
■感染者数増加でレベル3に?
春節の連休で92万人もの中国人を迎えていた日本だけに、専門家は異口同音に「感染者が数百人で収まるわけがない」と語る。だが日本もウイルス検査に医療保険の適用が決まった。医師の判断で速やかな検査が行われることに大きな期待が集まっている。
もっとも感染者数が急増すれば、CDCは日本の危険レベルを2から3に引き上げる可能性がある。レベル3といえばエボラ出血熱がアウトブレークした際のシエラレオネ、ギニア、リベリアと同等。
海外の「オリンピックの開催は延期の方向で」という声がさらに大きくなる可能性もあり、日本政府としては悩ましいところだろう。
■まずは国民ファーストで
2016年には、ジカ熱の流行に苦しめられながらもブラジルが五輪を開催していた。
成功の理由は国民の多くが「もう負けない、大丈夫」と実感できるようになっていたこと。「こんな状態でやれるのか」といった不安の声が多数を占めるようでは、五輪に向けた国民の高い士気などとても期待できるものではないのだろう。
まずは速やかな検査体制の実現と、冷静な判断による医療機関受診や自主隔離が重要になる。国を挙げた努力で新型コロナ・パニックを1日も早く収束させたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)