新型コロナも交通機関も自動翻訳で奇妙な英語に 大丈夫かニッポン
国際都市として高い位置を誇る日本。しかし情報発信能力、速度と正確さは?
この夏に開催される五輪に向けて、また新型コロナウイルスに感染している人数が比較的多い国として、今の日本は世界に向け大量の情報を次々と発信する立場にある。
だが厚生労働省において、自動翻訳ソフトで得られた奇妙な英文をそのまま使用していることが発覚。あまりにも情けないと話題になっている。
■国民の皆様におかれては…
厚生労働省の英語版サイトがバイリンガルやネイティブの力を借りず、機械翻訳を使って和文英訳し、そのまま利用しているとSNSを中心に広がっている。
今大きな話題になっている一例が、新型コロナウイルスの流行で咳エチケットや手洗いの励行を国民に呼び掛けるにあたり、「国民の皆様におかれては」が“since being put by national everybody”という奇妙な英文で示されたことだ。
■人手・予算不足と厚生労働省
英語、中国語、韓国語に対応しているという厚生労働省の外国語版サイトに関しては、今月上旬にも韓国語版のページで「よく手洗いを」が「トイレが重要」と誤訳されて話題になった。
打ち込みの時間を短縮するために自動翻訳機を使用することはあっても、その後にバイリンガルやネイティブのチェックで正しい文章に整える作業を怠ってはならないとの声が殺到。同省は「人手も予算も不足」と釈明していた。
■マッスル・ラインって?
厚生労働省だけではない。大阪メトロも今から1年ほど前にとんだ失態を犯していた。
ヘボン式ローマ字で示すだけでよいものを、翻訳機を使用したがために御堂筋線(みどうすじせん)はMuscle Line(筋肉線)と、堺筋線はSakai Muscle Line(堺筋肉線)と示されたのだ。
車内アナウンスではそんな言葉が使用されないにもかかわらず、駅名についても「天下茶屋駅=World Teahouse」「太子橋今市=Prince Bridge Now City」と訳され、大阪府民をも呆れさせていた。
■雰囲気だけ伝わればいいのか
厚生労働省は、それらの奇妙な英文について「自動翻訳機を利用しているため100%の正確さを保証するものではない」という断り書きを添えている。
だが彼らの元には、誰もが知りたい最新かつ最重要の情報がリアルタイムで集まって来る。「奇妙な英文ですが雰囲気だけでも伝われば」というのでは、あまりにも認識が甘いというほかない。
この問題を放置しておくと、今に「日本からの情報は正しくないのでは」と世界中から痛烈に批判されてしまうだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)