新型コロナ流行拡大のイタリア 感染源とされる初の重症患者は勤務先も公開
イタリアにおける新型コロナウイルス感染者の増え方がすさまじい。
新型コロナウイルス感染者が今、大変なペースで急増しているイタリア。代表的な商業都市で観光地でもあるミラノを州都とする北部のロンバルディア地方、そしてベネチアを擁するベネト地方で特に深刻だ。
■マスクが売り切れに
イタリア国内の新型コロナウイルス感染者は、日本時間24日午後8時30分の最新情報によれば224人を超え、死者も4人を計上。誰もが政府機関であるイタリア市民保護局(Protezione Civile)の記者会見や公式サイトの情報に注目している。
また、普段はマスクなどしないイタリア人たちが敢えてそれを着けて街を歩くようになったため、どのドラッグストアでもあっという間にマスクが品切れになったとも報じられている。
■パニックの懸念も
特に流行が深刻なのはロンバルディ州のコドーニョ。ここはミラノから50キロメートルほど南東に位置し、コドーニョ病院(Codogno Hospital)は特設テントでウイルス検査を行い、新しい感染者や肺炎患者の受け入れに追われている。
このロンバルディア州および東隣のベネト州では、5万人が暮らす10を超える地区が現在「ロックダウン(封鎖)」の扱いに。ホテル、飲食店も閉鎖に追い込まれ、人々はATMやスーパーマーケットに殺到。大量の食料品ほかの買い物に追われている。
■勤務先や帰国日も情報公開
そんな中でロンバルディア州保健福祉省のジュリオ・ガレラ局長は、イタリア人初の重症患者で「感染源」とも報じられているロンバルディ州在住の38歳の男性について言及。
「1月21日に中国から帰国した友人男性と会って飲食などしていた、コドーニョに近い『ユニリーバ・イタリー(Unilever Italy Holdings S.R.L.)』社の工場に勤務する男性」と公表した。その友人は新型肺炎を思わせる症状がほとんど出ていないという。
先にはイタリア市民保護局が、1月23日にミラノから入国した中国・武漢市出身の観光客2名について、ローマで感染が確認されたことを伝えていた。
会社の同僚、家族、友人、知人、ミラノ・マルペンサ国際空港の利用者や職員にはおおいに波紋を広げているが、詳細を正しく知ったことで自主的に検査を受けている者も多い模様だ。
■動揺広がるミラノとベネチア
市民が楽しみにしてきた大きなイベントなども、新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けている。
サッカー・セリエAの試合は延期となり、ファッション業界の世界的なイベント「ミラノ・ファッションウィーク(18日から24日まで)」そして有名なベネチアの「カーニバル(9日から25日まで)」について延期や中止、来場者を受け付けないなどさまざまな措置がとられた。
ミラノやベネチアといった人気の観光地から中国人団体ツアーがめっきり姿を消したものの、マスク姿の市民は確実に増えている。これには「近年見たことのない異様な光景だ」と伝えるメディアも多いようだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)