トコジラミ駆除剤噴霧を知らされず… アパートの上階で乳児が死亡
気づかぬうちに繁殖するトコジラミ。駆除の際は近隣住民への予告と避難を徹底しなければならない。
マンションやアパートなどの集合住宅で害虫の駆除作業が行われる場合は、責任を持って周囲の世帯にそれを予告し、住人全員が十分な時間そこから避難していることが重要となる。それを怠れば、こんな悲劇が起きてしまうことも…。
■薬剤噴霧の予告は隣にのみ
カザフスタンのシムケント市のアパートで今月11日、トコジラミ(南京虫)やゴキブリを駆除したいという1階のある世帯の要望で、害虫駆除業者が薬剤の噴霧を行った。
ところがその部屋の主が実施の日時や避難について告げたのは1階の隣家のみ。毒性の高い殺虫剤に関する彼らの認識の甘さは、ほかの住人に大変な被害をもたらすことになってしまった。
■殺虫剤の成分は通気口へ
その当日、2階に暮らすディルシャット・アブドゥラスロフさんと妻と3人の子は、何も知らずアパート内にとどまっていた。
噴霧されたのは強い毒性で知られるクロロニコチニル系の殺虫剤イミダクロプリド。霧状の成分は通気口からエアダクトを通じてアパート内へ。アブドゥラスロフさんと家族は微量ずつそれを吸い込み、気分が悪くなっていった。
■乳児が死亡し幼児2名が重体
一家の体調不良は翌日に顕著となった。青白い顔色で嘔吐しては力なく泣き、ついにぐったりとしてしまった生後8ヶ月の女の子は、大きな病院の高気圧酸素治療室に運ばれるも30分後に死亡。5歳と3歳の2人の子供も容体は危機的な状態だという。
いずれもイミダクロプリドによる中毒症状と診断されている。
■「予告の徹底を」と涙の両親
この事件に関してはシムケント市も事態を重く見ており、警察も害虫駆除業者に対し聞き取り調査を始めているが、今のところ逮捕者は確認できていない。
メディアの取材に、両親は「噴霧についてなぜ全世帯に知らせてもらえなかったのか、強い怒りを覚えます」「末の娘は歯が生える時期でたびたびぐずっていたため、今回もそのせいで泣いていると思い、病院に連れていくのが遅れました」などと語っている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)