「緑のおじさん」88歳の強い使命感 暴走車から子供たちを守り自身が犠牲に
猛暑の日も大雪の日も子供たちの安全を守ってくれる学童擁護員さん。じつに温かい、ありがたい存在だ。
子供たちを交通事故から守りたいとして、全国で活動する「緑のおじさん(おばさん)」こと学童擁護員の人たち。多くが高齢者で「子供たちと関わることが大好き。健康な限り頑張っていきたい」という人も少なくない。
そんな緑のおじさんについて悲しい事故の話題が伝えられた。
■少年2名に迫った危険
事故は米国カンザス州カンザスシティのレブンワース・ロードという大きな道路で発生した。付近のクライスト・ザ・キング小学校に通う子供たちのため、いわゆる「緑のおじさん」として横断歩道の安全を守ってきた88歳のボブ・ニルさん。
現地の18日朝、小学3年生と5年生の少年2名が横断し始めたところで黒のセダンが突っ込んできたことに気付き、2名をとっさに押し戻すも自身が犠牲になってしまったという。
■スポーツ万能で子供好き
使命感に満ちた勇敢かつ迅速な行動で少年たちの命を守り抜いたボブさん。かつて大変なスポーツマンで、4年間沿岸警備隊として働いたほか、エリート銀行員としてのキャリアも。
さらにワイアンドット郡のスポーツ協会設立に携わり、長年にわたり少年たちにサッカーや野球を指導していた。銀行を定年退職後すると郡不動産鑑定事務所にしばらく勤めたが、その後は何となく寂しそうに見えたという。
■学童擁護員の募集に心躍る
ボブさんは学童擁護員の募集広告を5年前に発見し、心を躍らせた。とにかく子供たちが好きで、再び社会の役に立ちたいという思いが強いボブさん。3人の子供たちは彼がすでに80代で心臓に問題を抱えていることを心配したが、その熱意と強い意志には敵わなかった。
遺族はボブさんが常に周囲を笑顔にさせ、誰にも愛されていたことに触れ、「とても寂しいですが、父らしい最期だったようにも思います」などと語っている。
■忘れられないボブさんの笑顔
温かい笑顔のあいさつで子供たちに親しまれていたボブさんは、このたびのバレンタインデーには大量のキャンディとカードを子供たちから受け取り、大喜びしていた。
事故現場には花、カードやキャンドルを手にした小学校の児童、職員、保護者らが続々と訪れ、勇敢だったヒーローとの突然の別れに涙を流している。「止まれ」の旗を手に車を制止するボブさんの勇ましい姿と笑顔を、子供たちは決して忘れないことだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)