令和初の天皇誕生日 「天皇陛下記者会見」動画とご発言全文書き起こし
23日に60歳の誕生日を迎えられた天皇陛下が、21日に記者会見。その動画とともにご発言の全文を書き起こした。
■ご成婚や災害の記憶も
「平成になり、皇太子となって平成5年に結婚し、雅子と2人で支え合いながらいろいろなことを経験することができたこと、そして愛子も生まれたことは本当に嬉しいことでした。親として愛子の成長を見守ってくることができたことも喜びでした。
その一方で、平成7年の阪神淡路大震災や平成23年の東日本大震災をはじめとする数々の災害による被害の大きさが、忘れることのできない記憶として脳裏に焼き付いております。
同時に、大勢の被災者の方々が大きな被害を受けながらも助け合いながら、また海外も含め周囲の多くの人々による支援に支えられながら、多くの苦難を乗り越えてこられた姿が深く心に残っています。
自然災害が起きることが避けられないとすれば、その被害が小さくなるよう、できる限り日頃から防災・減災の意識をもって取り組みを心がけることが重要なことではないかと思います。
昨年も残念ながら台風19号をはじめとする台風・大雨などの自然災害により、多くの方が亡くなられ、また家屋の損傷なども含め、大きな被害が生じたことは心の痛むことでした。
昨年12月には、とくに人的被害の大きかった宮城県・福島県を雅子とともに訪問しましたが、寒さが厳しい中、不自由な避難生活を送らなければならない方々のことを思うと、今なお胸が痛みますし、避難生活をされる方々を支えたり、災害復旧にあたったりしている関係者の皆さんも大変な苦労をされていると思います。
■直近の国内外問題にも言及
「現在、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されていますが、罹患した方々とご家族にお見舞いを申し上げます。それとともに、罹患した方々の治療や感染の拡大防止に尽力されている方々のご労苦に深く思いをいたします。感染の拡大ができるだけ早期におさまることを願っております。
近年の子供たちをめぐる虐待の問題の増加や貧困の問題にも心が痛みます。次世代を担う子供たちが健やかに育っていくことを願ってやみません。
また海外に目を向けますと、紛争が続いている国や地域が依然としてあり、多くの人々が苦しい生活を余儀なくされ、あるいは難民として国外に逃れざるを得ない状況にも胸が痛みます。
その意味でも、アフガニスタンの人々のために、長年にわたり地域の発展に多大な貢献をされていた、医師の中村哲さんが亡くなられたことは、大変に残念なことでした」