日本共産党・田村智子参院議員に聞く 「授業料値上げ・有利子の奨学金で異常事態が拡がっている」
日本共産党で政策委員長を務める田村智子参院議員。学生時代から一貫して大学授業料や奨学金の問題に取り組んできた。
■世代格差より所得格差の是正を
年金や高齢者の医療費にお金を使うべきか、子育て世代や子供たちに投資すべきか、社会保障の世代間格差・対立の問題については、どのように考えているのか聞いてみた。
田村:世代で見るのではなく所得格差を見てみよう、と言いたいです。この20年くらいで日本の所得格差は拡がってしまいました。貯蓄なしの若い世代がいる一方で、低年金の高齢者もたくさんいます。
病気をしてしまったら生活破綻、といったケースも少なくありません。しかし、持てる人は大変な資産を保有している。
企業間の格差も問題です。大企業は大量の内部留保を貯め込んでいる状況で、中小企業は自転車操業的に苦しい経営をしているところもある。これをならすことが必要です。
持っている人や企業への優遇税制を止めて社会保障に流す。たとえば、現在は分離課税になっている株式投資などの儲けを所得に合算する。なぜ不労所得を優遇するんだ、と思いますよね。こうしたものは、社会保障の財源として有意義なものになるはずです。
■成長戦略は「中小企業を伸ばす」
共産党というと、「経済成長は二の次」という印象を持つ人もいるのではないだろうか。若い世代にはとくに深く関係する、これからの日本の成長戦略についても話を聞いた。
田村:企業の数でいえば、9割方が中小企業で、大企業はごく一握りです。しかし、大企業に入ることが幸せという価値観もあり、中小企業は採用でも本当に苦労している。
いかに中小企業を成長させていき、働く人たちの給与を上げていくか、というところに成長の可能性があると思います。
たとえば、法人税の税率は大企業と中小企業で変わらず、むしろ大企業のほうが研究開発など減税の恩恵がいくようになってしまっている。中小企業が給料を上げようにも、社会保険料の負担が重くて払えない、という声も聞きます。こうしたところに直接国が支援する。
中小企業で働くことが働きがいもあり、給料も保障され、地域に密着して自分たちのオンリーワンの技術が活かされる、まさに中小企業が主役と言えるような経済の戦略を立てるときだと思います。
大企業側は中小企業がパートナーという意識もないまま、自分たちの利益の最大化を求めて中小企業に薄利を押し付けている状況ですが、9割の中小企業が元気になれば、大企業も元気になるのです。