ウクライナ機撃墜を認めたイラン 「防空部隊と民間部門がうまく連携せず」と指摘も

ウクライナ機墜落事故は、やはりイランによる誤ったミサイル攻撃が原因だった。

2020/01/11 15:40

イラン・ミサイル
(AlexLMX/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

今月8日、ウクライナの首都キエフに向け、乗客乗員176人を乗せイランの首都テヘランの空港を飛び立ったウクライナ国際航空の旅客機が、離陸直後に墜落した。

この件に関し、「イランが誤って撃墜したのでは」との疑いを強めた欧州各国。ここにきて、やはりミサイル攻撃があったことをイラン側が認めた。


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■ミサイルでの撃墜を認めたイラン

Twitterを利用し、「なんと悲しい1日。ヒューマンエラー(人為的ミス)のせいで、意図せずウクライナの旅客機が撃墜された」と綴ったイランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相。

そこには英語で、混乱、大惨事、後悔、悲劇、哀悼、謝罪といった言葉も綴られた。

ただし、そのエラーについては「アメリカの軍事的冒険がもたらした、ここ数ヶ月にわたる強い緊張がすべての引き金」と釈明。アメリカにも責任があるとやんわり批判した。

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■革命防衛隊本部が近くに

イラン軍はその数時間前にイラクにある米軍の拠点を攻撃しており、アメリカ側がイランへの反撃を警告するなど両者の間には当時きわめて強い緊張が募っていた。

イラン国境付近を飛ぶ米軍の飛行物体が数を増していたなか、ウクライナの旅客機が旋回する際にイランの軍隊組織の一つ「イスラム革命防衛隊」指令本部のすぐ近くを飛んだことも、混乱を招いた大きな原因だとイラン側は釈明している。

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■中東やイスラエルの報道は…

この件について、カタールのドーハに拠点を置くアルジャジーラ電子版は、イラン民間航空機関のアリ・アベドザデ氏の発言として、「イランの防空部隊と民間航空部門は緊密な連携や調整が取れていない」との指摘を紹介している。

また、イランとは対立関係にあるイスラエルの大手新聞エルサレム・ポストによれば、「この事故に関してはイランの関係当局が軍内の司法機関と緊密に連携しながら、しかるべき責任をとる構えがある」とのこと。

さらに、イラン当局は8日にウクライナ機のブラックボックス回収に成功したといい、その分析についての結論は1〜2ヶ月後に発表されるであろうと報じている。


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■後手に回ったイラン政府

イランはミサイルによる撃墜が疑われた際にそれを否定し、そのような心理作戦には動じないといった姿勢を示していた。

そうしたことからウクライナ政府と航空当局は、この墜落事故に関してこれまでロシアによるミサイル攻撃、空中で何かと衝突した可能性、エンジンの爆発、自爆テロなど、あらゆる原因を視野に入れ調査することを強いられてきた。

世界の多くの国、多くの人々が今、イラン政府の後手後手ぶりを批判している。彼らはミサイル撃墜の事実をもっと早くに発表するべきだったはずだ。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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