患者が転げ落ちたまま救急車が25キロも走行 救命救急士は何をしていた?
真面目に任務にあたっている隊員なら、こんなことは決してしないはずだ。
■不真面目すぎた隊員たち
ロシア・リペツク州の消防局から出動した1台の救急車。そこで隊員の職務怠慢と違反行為により、驚くようなアクシデントが起きていたことが8ヶ月経った今ごろ明らかにされ、州民の怒りを買っている。
乗せた女性患者が走行途中に外に投げ出され、救急車はそれに気づかないまま何十分間も走行。なぜそんなことが起きてしまったのだろうか。
■患者を放置した救命救急士
被害にあった女性患者は、スイミングプールの従業員だった56歳のガリーナ・ドミトリエワさん。突然の体調不良につき救急車を要請し、脳卒中が疑われたことから隊員はその女性をリペツク市立の大きな病院に運んだ。
ところが対応した医師が「これは脳卒中ではなく緊急性はない」と判断。一転してザドンスク地区病院への搬送が決まった。その道のりは長く、患者に寄り添うべき救命救急士は助手席に座った。飽きてしまうから一緒に会話でもしながら…これはとんだ違反行為だった。
■転落で顎、脚、股関節を骨折
ところが走行中の衝撃でいつしか後部のドアが開き、ドミトリエワさんは道路に転落。しばらくすると後続車のドライバーから「道路に女性が倒れている」との通報が入り、別の救急車が出動した。
ドミトリエワさんは改めて大きな病院に搬送されたが、顎、脚、股関節を骨折しており、骨格が歪んでしまった今、杖なしでは歩くことができない。「それでも謝罪ひとつありません」と彼女の怒りは大きい。
■気づかぬまま25キロも走行
そのアクシデントに全く気づかず、会話を弾ませていた先の救急車の隊員2名。なんとドミトリエワさんを振り落とした後、25キロメートルも走っていた。
「彼女は自ら救急車を降りた」と呆れた釈明をした女の救命救急士には間もなくの裁判で実刑判決が下るとみられ、隣に座るよう誘った運転席の隊員もすでに懲戒免職処分となっている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)