娘のトイレに押し入ろうとした浮浪者 殴り殺した父親の正当防衛認められず
目に入れても痛くないほどかわいがっていた16歳の娘。その話に父親は単純に逆上した。
自分の娘の身に、もしものことが起きたら…。父親はそれでも冷静さを失ってはいけなかった。この事件そのもの、そして下された量刑が「いろいろと考えさせられる」と話題になっている。
■「ヘンな男が無理やり」と娘
その事件は米国アリゾナ州のフェニックスで昨年8月、ガソリンスタンドに併設されたコンビニを舞台に起きた。
そのトイレを利用した当時16歳の少女が、車で待っていた父親のメルビン・ハリスに「私が『入っています』と言っているのに、ヘンな男が無理やりトイレに押し入ろうとしてきて怖かった」と打ち明けたことが発端だった。
少女が入っているトイレの扉を執拗にガチャガチャとさせたのはレオン・アームストロングさんという男で、そのガソリンスタンドを利用する人々に物乞いしながら暮らす浮浪者だった。
■父親の怒りを従業員は無視
驚いたハリスはコンビニの店内へ。従業員を問い詰めたが真剣に取り合ってくれないことにも腹を立て、彼はアームストロングさんの顔面を殴り、倒れたところを蹴り、顔を踏みつけた。
アームストロングさんは数日後に死亡。脳に致命傷を負っており、少女へのイタズラが目的だったのか便意が迫るなどの緊急事態だったのか、トイレに無理やり入ろうとした理由を確かめる方法はなかった。
■正当防衛の域を超えてはダメ
この事件でハリスは第二級殺人罪で起訴された。
当時ハリスの車には娘のほかにその友人も乗っており、「ハリスさんは父親として当然のことをしただけ」という証言が得られたほか、身内の誰もが「家族思いのすばらしい人物」と主張した。
ハリス本人も犯行の事実を認め、司法取引に応じたことから検察側は扱いを過失致死罪に改めたものの、このたびの裁判で懲役8年の実刑判決が言い渡された。正当防衛の域を超えた執拗な暴力とみなされたという。
■やはり我が子はかわいい
しらべぇ編集部は全国20〜60代の子供がいる男女685名を対象に、我が子に対する愛情について意識調査を実施。すると全体の44.2%が「目に入れても痛くない」と回答した。しかも男性が45.1%で女性は43.5%と、その思いはむしろ男性のほうに強いことがわかる。
だが親には冷静さや理性も求められている。カッとなって見境がつかなくなり事件を起こし、その理由を「愛情」といわれても家族は困惑するだけだろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)
対象:全国20代~60代の子供がいる男女685名 (有効回答数)