黒島結菜、自信がないことに見出す大事なもの 「悪いだけじゃない」
周防正行監督の最新作『カツベン!』でヒロインを務めた黒島結菜にインタビューを行った。
2019/12/17 11:00
■諦めずに頑張って良かったシーン
———撮影を終えられて、一番印象に残っているのはどういったところでしょう?
黒島:ワイヤーを使ったシーンがあったり、アクションが多かったです。梅子が椅子に縛られていて、椅子ごとゴロンって転ぶシーンは、私にワイヤーが付いていて、天井に吊るされた状態で。
あのシーンはすごく何回も撮りました。タイミングも絶妙に難しくて、何テイクも撮り直して。大変だったし、体を張ったシーンです。
———ワイヤーを使って撮影しているようには全く見えませんでした。
黒島:そうなんです。「今できたんじゃないですか?」と思っても、監督は「ここがもうちょっと…。よしもう一回やりましょう!」とおっしゃって。
そういうやり取りの繰り返しで何十回も頑張ったシーンなんですが、完成した映像を見たら、ワイヤーを使っていることがわからないくらい、自然に転んでいるシーンになっていたので、時間をかけて諦めずに頑張ってよかったと思いました。
みなさん、見えないアクションをされていて。俊太郎が大男に首を掴まれて持ち上げられているシーンも、じつは成田くんはワイヤーに吊られていて、それをCGで消してるんです。
成田くんが吊るされた状態で、あのシーンは撮られていたり、見えないところで体を張ってるシーンは他の方でも多いと思います。でも、それを感じさせないし、自然に見えているのがすごい。
■役者に向いてないんじゃないか
———今回、梅子の役はオーディションで勝ち取られたということですが、今改めて振り返っていかがですか?
黒島:他にもきっとすごい女優さんが受けているだろうし、自分が受かると思っていなかったので、気楽に楽しもうという気持ちが大きかったです。
オーディションは、劇中シーンの台本を渡されて、演技の審査もあったんですけど、監督も私も写真が趣味だという話だったり、楽しくお喋りをさせていただいたという感じです。
監督がすごく楽しそうに、今回の映画の説明をされている姿が印象的で、撮影現場も楽しそうな予感があったけど、「まあ、自分が受かるわけないしな」と。だから、終わってからも「今日楽しかったからいいやあ」って思っていました。
———そして、その自信のなさが梅子役につながったと。周防監督は黒島さんを選んだ理由のひとつに、「陰がある」というような表現を使われていましたよね。
黒島:私はあまり自分に自信がないし、お芝居も毎回どの現場でも「もっとできたな」「これでよかったかな」って反省することが多くて。ダメダメすぎたときは、「自分は役者に向いてないんじゃないか」って思うくらい、自信がないんです。
でも、今回の役に選んでもらえたので、自分に自信がないと思っていてもいいことあるんだって思いました。梅子という役もすんなりじゃないけど、ああしようこうしようって決めずに、役がすっと入ってきた印象があります。
■自信がないのは悪いことだけじゃない
———周防監督は、黒島さんに「真摯な若者らしい悩み」を感じたともおっしゃっていました。
黒島:それこそ自信がないところはそうなのかなと。現場でも、監督にこういう風にしてほしいって指示を受けて、やってみるんですけど、「うーん。今できてたかのかな。これで良かったのかな」って思っちゃうんです。
私はそうやって思ったことがすぐ顔に出ちゃうんですけど、監督はそれを見て、そんな風に感じられたのかもしれません。
周防監督はウソがない方だなと。正直でストレートな分、厳しい面もあるんですけど、人としての魅力がすごくある方だと思います。だから、監督が言ってくださる言葉はどれもすごく嬉しかったです。
———そんな周防監督の映画でヒロインを務めたことは、自信につながったのではないでしょうか?
黒島: 自分が出演した作品が公開されて、私自身、自分の評価みたいなものは普段あまりしないけど、「今回は頑張ったな」って思いたいし、お客さんからはいい反応があると思うので、「この作品に出たんだ」という自信はつくとは思います。
でも、それに甘えちゃいけないなと。自信がないから日々努力できるっていうのがあると思うので。満足しちゃうとそこで終わっちゃう。だから、反省の毎日は私の中で大事なんです。満足せずにやっていきたい。自分に自信が持てないのは、悪いことだけじゃないと思います。
映画『カツベン!』は今月13日より公開中。成田、黒島のほか、竹野内豊、高良健吾、井上真央ら、豪華キャストが出演している。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)