フラッシュで片方の瞳だけに白い光 父親が息子の悪性腫瘍を発見
正しい予備知識を持ちすみやかに受診。命を守るうえでこれはとても大切なことだ。
クリスマスが近くなり、各種イベント、遊園地やパーティなど室内で写真を撮影することが増えている。フラッシュの光を反射して瞳が赤く、あるいは白くなったと写真の仕上がりにがっかりすることがある。しかし時には注意が必要なことも…。
■左の瞳だけ白く光る
英国イースト・サセックス州イーストボーン在住のノア・ブランクスくんという4歳の少年。この子は数カ月前に撮影された1枚の写真がきっかけで深刻な病が発覚した。
夜間の室内でフラッシュをたいて写真を撮影したところ、ノアくんの右の瞳がフラッシュによる赤目現象を起こしたのに対し、左の瞳だけ白く光ったのだ。父親のオリー・ブランクスさんと母親のライラさんは心配になり、ノアくんを連れてすぐに眼科を受診したのだった。
■眼にできる悪性腫瘍
詳しい検査の結果、医師から告げられたのは「網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)」という病名で、幼い子供に特有の眼にできるガンだと説明された。
なんとか眼球を残してあげたいと化学療法が数ヶ月にわたり試みられたが、残念ながら効果が出ず、最近になって眼球の摘出手術が行われたノアくん。すでに退院したが、義眼の装着やリハビリなど乗り越えるべき課題はたくさんあるそうだ。
■「親が正しい知識を」と父親
ロンドンの『Childhood Eye Cancer Trust』。ここは網膜芽細胞腫という珍しいガンに対する関心を高めようと努め、患者と家族をサポートしている慈善財団だ。
オリーさんもそこに貴重な体験談を寄せた1人だが、「暗いなかでの撮影の機会が増えるこの時期、もしも我が子の瞳がフラッシュの光に片方だけ白く光るようなことがあったら、迷わずこの病気を疑ってみてほしい。どうか正しい知識を」と呼びかけている。
■網膜芽細胞腫とは
「日本小児眼科学会」は、公式サイトで網膜芽細胞腫について以下のように説明している。
「日本における発生頻度は15,000人に1人。年間約80人の5歳以下の子供が発症」
「早期発見と治療で90%以上が治癒するが、ガンが視神経を通って脳に広がると生命に危険がおよぶ」
「進行するにしたがって、視力の低下、斜視、眼が赤くなる、眼球が大きくなる、などの症状が加わっていく」
■少ないながら両側性の場合も
網膜芽細胞腫について、注意したい点がもうひとつある。ノアくんは左の瞳だけ発症したが、「日本小児眼科学会」は左右両眼ともに発症する場合もあるとしている。
両眼性と片眼性の割合は1対2.6。つまり、この病気を発症した子供の3割弱でフラッシュの光に両側の瞳が白く反射することになり、「よくあること」と見過ごされてしまう心配があるようだ。
乳幼児の視力低下はなかなかわかりづらいため、「視線がうまく合わない」と斜視に気付いてから受診するケースが多いという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)