頻繁なヘアカラーに乳がんの危険性? リスクが高い女性でさらに発症率上昇も
本当に多くの女性がお世話になっているヘアカラーだが…。
ヘアカラーに使用される強力な液剤。その成分が人間の体にとってよくないものであることは誰もが理解しているが、「好みの美しいヘアにしたい」という願望にはなかなか勝てない。だが、もしもその定期的な使用が乳がんの発症率にかかわってくるとしたら…。
■ヘアカラーと乳がん
乳がん患者については、その5~10%は遺伝子変異などそもそも乳がんを発症しやすい体質だったと考えられ、それ以外の90~95%は食生活や肥満など環境因子の影響が大きく関与しているといわれている。
そんな中、このほど医学誌『International Journal of Cancer』に気になる論文が寄せられた。定期的なヘアカラーを続けることにより、乳がんリスクが上がる可能性が指摘されたのだ。
■黒髪をブロンドにする危険性
その調査を行ったのは、アメリカ国立衛生研究所と国立環境衛生科学研究所の研究チーム。
35〜74歳の46,700人の女性を対象に長年の観察を続けたところ、5~8週間おきか、それより頻繁にヘアカラーを使用すると乳がん発症率が上昇するといい、特に黒い髪をブロンドに脱色しているような黒人女性では、乳がんの発生率が驚くことに60%も増えることがわかった。
また縮毛矯正剤の併用例も多いが、そちらの危険性については過去の研究で否定されていることもあり、まだ結論を出すには至らないという。
■顔の近くで使う危険性
ヘアカラーに使用される液剤の成分中には、パラフェニレンジアミン、アミノフェノール、過酸化水素、レゾルシンといった化学物質がたくさん含まれている。
また黒髪からブラウン~ブロンドへと色調を明るくすればするほど、その液剤が含む環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の含有率も高くなると考えられている。
それを目、鼻、口の近くで使用するため、吸い込んだり粘膜から微量ずつ吸収されれば成分の血中移行は速い。こうした理由から、「ヘアカラーの危険性は農薬の比ではない」とかねてから指摘されていた。
■乳がんリスクを感じるなら…
このたびの調査で特筆すべきことは、「姉妹に乳がん患者がいる、現在は健康だが発症リスクが高い女性たち」を対象としたこと。身内の病歴から自分の乳がんリスクも高いと認識している女性においては、髪色は自然のままにしておくほうが無難と言えそうだ。
また、ショッキングなこのたびの調査結果を遺伝子リスクのない女性たちにそのまま当てはめる必要はないというが、少なくともヘアカラーと乳がんの発症に関連性があることは見えてきた。
乳がん患者の9割が環境因子の影響を受けて発症という事実を考えると、たとえ遺伝的リスクがなくとも、危険な物質を遠ざけた暮しを心掛けることは大切だ。
・合わせて読みたい→だいたひかる、ファンのお悩みに回答 「生きる意味が分からなくなった」への答えは…
(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)