病院個室料金の不当徴収が横行か 厚労省は「実態調査していない」
個室料金を不当に徴収している病院の実態とは…
2019/11/29 09:20
■大部屋が満室
SNS上では、「大部屋が満室で10,800円の個室しかないが、お支払いお願いします」と言われたや、「相模原市の大きな大学病院では、『個室料金を払えないなら入院できません』と脅されて同意書にサインさせられたなどの声があがっているのだ。
取材中に、女性から「東海大学附属病院で、他の部屋が空いているのに『個室しか空いていない』と言われて、何度も個室料金2万5千円を払わせられた」との告発があった。
この点を東海大学附属病院に問い合わせたところ、「回答するかどうかも含めて、最低でも1週間以上かかる」と総務課の担当者が述べた。
その後、「当院にて、大部屋が開いてるにも関わらず個室を案内し個室料金を請求した件を確認しましたが、該当事例はありませんでした」との回答が届いている。
■厚労省「調査行っていない」
厚生労働省は、「大部屋が空いているにも関わらず、病院の都合で個室にさせられた場合は、個室料金を支払わなくて良い」と規則で定めている。
厚労省の医療課は、取材に対して、「規則を破って個室料金を徴収している病院があるということは、耳にしたことがある。しかし、その実態調査までは行っていない」と話す。
また、「病院側に義務付けている提出書類から、その実態を見抜くのはなかなか難しい」とし、「ただし、監査などで規則に違反している実態を把握した場合は、行政指導を行い、従わなければ保険医療機関取り消しもあり得る」と述べた。
■「個室料金で稼ぐしかない」
関東圏の病院理事長は、取材に「どんな治療を行っても保険診療の場合、診療報酬が決まっており、良い先生を確保するためには、個室料金で稼ぐしかない。大部屋を減らして個室を増やすことが、病院生き残りの道」と話す。
また、首都圏の私立大学病院関係者は、「病院の経営が全般的に厳しくなっている。私立の大学病院に関しては、私学助成金や入試の受験料頼みのところがある。私学助成金のカットは、そのまま経営に直結する」と述べた。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)