犯罪ドラマで知った劇物で同僚を… 殺人未遂容疑の男に法廷身震い
世の中は今、銃や刃物といった凶器を使わない殺人事件が増えている。
他人に強い恨みを持ち、よこしまな感情に支配されてしまう人々。完全犯罪をたくらむ彼らに、テレビの犯罪ドラマがまさかのヒントを与えてしまうことも…。
■劇物で同僚を殺そうと
アイルランド・コーク州で起きた、トーマス・リンチ被告が勤務先の同僚を劇物で殺そうとした事件について、このほど裁判が結審した。
リンチが使用したのは硫酸タリウムという化学物質。幸いにも被害を未然に防ぐことができたため、被告に下されたのは実質わずか1年の禁錮刑であったが、その殺意と行為はきわめて危険なものだった。
■ターゲットの車に近づくと…
事件はキャリグツーヒルという町にあるデータ管理会社の駐車場で2018年5月に起きた。ターゲットとなる同僚が通勤に使用している車に手袋をはめた姿で近づき、そのドアハンドルに硫酸タリウムをたっぷりと含ませたセーム皮を押し付けたリンチ被告。
しかし別の同僚がその様子を目撃しており、ただちに車の持ち主である同僚と職場の上司に彼の不穏な動きについて報告。そのおかげで男性は難を逃れた。
■ターゲットの習慣を熟知
警察は男性のドアハンドルに付着していた物質を専門の検査に出し、それが硫酸タリウムであることを突き止めるとリンチ被告の身柄を拘束した。犯行を認めた被告は取り調べに対し、「日頃からあの男とは意見が合わず、殺したいと思っていた」と話したという。
ターゲットとされた男性は昼食を自分の車のなかで食べることを日常としており、パンなどをつまむことで、手に付着した硫酸タリウムを摂取させることがリンチ被告の狙いだった。
■ヒントは犯罪ドラマから
その事件がこのたびコーク州巡回裁判所で裁かれ、リンチ被告には12ヶ月の執行猶予が刑期の後半についた懲役2年の判決と、3年の保護観察が言い渡された。なお、法廷で特に注目されたのは硫酸タリウムが犯行に使用された理由だった。
完全犯罪や未解決の殺人事件ばかり扱う犯罪ドラマをむさぼるように見ていたという被告。そこで硫酸タリウムが使用された事例を知り、8,400円ほどでイタリアから取り寄せたと述べた。
犯罪ドラマが犯罪予備軍の者に多くのヒントや知識を与えているという事実は、やはり恐ろしいものがある。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)