末期がんの夫の願いを叶えたい 自殺ほう助を求められ従った妻の苦難
「安楽死が許される国に行きたい」と切望した夫。そこで心中を決意した妻だが、彼女の運命は過酷だった。
「このひどい痛みに耐えるのはもう嫌だ」と死を望むようになった夫の気持ちを尊重し、自殺を手助けした女性がいた。何十年も寄り添い合い「死ぬときも一緒」と決意した女性だが死にきれず、病院で目が覚めるなり殺人容疑者として逮捕されてしまったという。
■心中を決意した妻
昨年2月のこと、英国で暮らす80歳の女性が81歳の夫に頼まれ致死量の薬をのませた。夫は末期がんを患い死を強く望み、一時は安楽死が可能な国への移動を望んでいたが実現せぬまま苦しんでいたとのこと。
そこで夫の願いを聞き入れた妻は「あなたなしで生きていくのはいや」「私も後を追いますからね」と夫に伝え、「お休み」という夫の声を聞いた後に自らも薬をのみ、ソファーに倒れ込んだという。
■殺人容疑者に
しかし息絶える前に家族に発見され、夫妻はそのまま病院に搬送された。夫はその後ほどなくして帰らぬ人となったが妻は病院で目を覚まし、そのまま逮捕されてしまった。
殺人容疑で裁判にかけられた妻は、「夫とは理解しあっていました」「(自殺を手助けするには)どうすればいいのか、夫から聞いていました」と主張。
無罪になった妻はメディアの取材に応じ、「目が覚めたときはつらかった」「夫にしてあげたことについては、後悔していません」とコメント。多くの人が妻に同情したが「許しがたい」という声も皆無ではなかった。