口と耳だけの赤ちゃんが誕生 「何のためのエコー検査か」と両親は激怒

高い料金にも何度もエコー検査を受けた両親の真剣な思い。それが医師には伝わっていなかったようだ。

2019/10/27 09:40

胎児エコー検査
(vadimguzhva/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

妊娠中の胎内について行われるエコー検査(超音波検査)。今どきは画像もかなり鮮明で、性別はもちろん、赤ちゃんの顔がパパ・ママどちらに似ているかまでわかると言われているが…。


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■4Dエコー検査は3回も

リスボンの南に位置するポルトガルのセトゥバルにある大病院で、今月7日に男の赤ちゃんが頭部に著しい奇形を伴って誕生した。鼻、両目を持たず、あるのは口と耳だけ。さらに頭蓋骨の一部が欠損しているという。

母親は妊娠中、町のある産科医院でアルトゥール・カルヴァーリョ(Artur Carvalho)医師の診察により、最新式の超音波検査を3回受けていた。胎児の動きや表情を立体的に捉え、かつリアルタイムに観察することが可能な4Dエコーだった。

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■別の産科医が異常を指摘

ところがその検査で、赤ちゃんは男の子だと判明しても顔がどうしても見えてこない。不安を抱いた両親は妊娠6ヶ月の時、別の産科医院で5Dのエコー検査を依頼。その時はじめて「先天的な異常があるかもしれない」と説明された。

母親がその後、カルヴァーリョ医師にそう告げたところ、彼は「子宮の内壁に赤ちゃんがベタっと顔をつけていると映らないことがある」と釈明したという。

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■男児の生命力は予想以上に強く

先天性異常の不安があるため、出産は大きなサン・ベルナルド病院(Hospital São Bernardo)で行われた。赤ちゃんにはロドリゴ君と名付けられたが、きわめて稀な先天性異常を伴っていることに医療スタッフもひどく動揺したという。

「異常の度合いが深刻なこともあり、もって数時間の命」と医師に宣告されたロドリゴ君。しかしその生命力は強く、生後2週間が過ぎた現在も小児科病棟で観察が続けられている。


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■医師は6ヶ月の停職処分に

ポルトガル南部の医師らで構成される地方医療協議会もこの問題を重視。2013年から職務怠慢に関する苦情が6件も寄せられているとして、カルヴァーリョを6ヶ月の停職処分とした。

しかし両親は激怒のなかで提訴を検討。すでにポルトガル検察局に文書を提出した模様だ。カルヴァーリョ医師はエコー検査で胎児に起きている異常を知りつつも軽視したのか、それとも本当に見逃がしていたのか。裁判には大きな注目が集まることだろう。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

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