リアル『天気の子』? 「即位礼正殿の儀」の雨は神話とリンクしていた
「即位礼正殿の儀」で話題になった天叢雲剣。その出自にはどんなエピソードがあるのだろうか。
2019/10/23 06:00
22日、天皇陛下ご譲位の儀式となる「即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)」が行われた。朝から雨が降っていたものの、儀式のはじまる13時近くに晴れ、虹がかかるといった現象が。
最近では祈りで晴れをおこすことが描かれた映画『天気の子』が人気だったこともあり、ネット上で話題に。実は、この天気の移り変わりは、神話とのリンクも感じることができる。
■三種の神器とは
今回、儀式において共に話題になったのが、「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」「八咫鏡(やたのかがみ)」「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」の「三種の神器」だ。普段は皇居や神社に安置されている。
代々、天皇に継承される神器。『古事記』や『日本書紀』などの日本神話では、どのように登場しているのだろうか。
■神話での登場エピソード
じつは現在、三種の神器としていわれるものと、神話上で登場する神器は同様ではないという説もあるのだが、広く知られているところでは、それぞれこんなエピソードで登場する。(※『古事記』より)
①八尺瓊勾玉「天岩屋戸神話」
太陽神・アマテラスが、弟・スサノオとの喧嘩のすえ岩屋戸に隠れてしまった。世界から日の光が失われ焦った神々は、わざと宴を開き、アマテラスを外に出すことに。
その際に作って飾ったのが、この八尺瓊勾玉といわれている。勾玉は今でも何に使われていたかハッキリわかっていないのが面白いところだ。
②八咫鏡「天岩屋戸神話」
前述の宴の際、自分が隠れているのに外で楽しそうな声が聞こえることを不審に思ったアマテラスが少し顔を出す。すると、そのとき鏡に映った自分を見てアマテラスは「自分以外の神をみんなが祀っている」と勘違いし岩屋戸から出てきた。
こうして日の光が戻ったというエピソード。そのときの鏡が八咫鏡だと言われている。
③天叢雲剣(草薙の剣)「八岐大蛇神話」
天叢雲剣は草薙の剣(くさなぎのつるぎ)という名で登場する。岩隠れしたアマテラスだが、喧嘩相手の弟・スサノオは地上に追放された。その際、出会ったクシナダヒメという美しいヒメが、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という恐ろしい大蛇に食べられてしまう危機に居合わせる。
ヒメを救うため大蛇を退治するスサノオ。その際に大蛇の尾から出てきたのが草薙の剣と言われている。
■雨は恵みだった
今回話題になった、天叢雲剣(草薙の剣)は、川の化身であると言われる大蛇から出てきたもので、空に雲を呼び雨を降らせるなんていう話も。
じつは日本では、大蛇や龍神など水の関係する神が古来から多く祀られており、古代において、雨は太陽と同じくらい恵みとして大切にされていたことがうかがえる。水がなければ食物を育てることもできなかったからだろう。
平成の即位式では晴れだったようで、今回も偶然であるのかも。しかし、国民が見守るハレの日に、こんなタイミングのいい天気の移り変わりがあるということで、お祝いの気持ちも高まるというもの。
古代の人は自然を神とし重要視したが、今なら少しそんな気持ちがわかるかも。来年は『日本書紀』編纂1300年という年。これを機会に神話を調べてみるのもオススメだ。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)