睡眠中を狙いガソリンを… 24歳恋人を焼き殺した女に60年の禁錮刑
「殺意も計画性もなかった」と一貫して訴えていた被告だが…。
交際中の男性を焼き殺しておきながら、女は「自分でも動機がわからない」などとうそぶいていた。そんな被告に陪審員や判事は…!?
■女がボーイフレンドを焼き殺す
米国アラスカ州アンカレッジのあるアパートで2012年6月、当時24歳の男性が交際中だったジーナ・ヴィルジリオという女に焼き殺された事件につき、アンカレッジ高等裁判所でこのほど裁判が結審した。
現在32歳のヴィルジリオ被告に有罪の評決が下ると、判事からは39年の「一部執行猶予」と10年の保護観察が付いた99年の懲役刑が言い渡された。一部執行猶予とは服役期間の後に執行猶予期間が設定されるもので、この場合は60年の服役がただちに始まることを意味する。
■24歳の誕生日パーティ後に
事件は2012年6月の男性の24回目の誕生日を祝った直後に起きた。
男性が眠ったことを確認すると、ヴィルジリオはガソリンスタンドからタンクで買っておいたガソリンをソファとカーペットに撒き、男性の体の周りにもふりかけて部屋の外へ。郵便物に火をつけるとそれを部屋に投げ込み、火の手が回ったことを確認してドアを閉めた。
異変に気付いた男性は「熱い」「助けて」と悲鳴をあげたが、女は唯一の出入り口となる扉の手前にも大量のガソリンを撒いており、男性はドアに近づくことができないまま焼死した。
■「自分自身が許せない」と被告
警察から拘置所、法廷に至るまで犯行の動機を決して語ることがなかったヴィルジリオ被告。法廷ではこんな言葉を口にした。
「なぜこんなことをしたのかわからない。自分自身がただ忌々しい」
「とても寂しい。できるものなら彼に戻ってきてほしい」
「覚せい剤の乱用からくる心身の不調の影響かもしれない」
犯行には計画性も殺意もなく、彼をいまだに愛しており、十分に反省。そう印象付けることに彼女は成功したようにも見えた。
■覚せい剤のせいにはできない
また、ヴィルジリオ被告の兄も証言台で「妹は20歳で覚せい剤のメタンフェタミンをやるようになり、性格が変わり、痩せて情緒不安定に」と述べ、弁護人もそこを強調して情状酌量をと陳情した。
だが、事件の直後からヴィルジリオが2週間にわたり逃走していたという事実は多くのことを語っている。それを重視した裁判長は「憎むべきは覚せい剤」という訴えには動じなかった。
自分を守ろうとする意識が働くあまり、犯人は犯行時ではなく犯行後にさまざまなボロを出すことがある。アメリカでは近年、いくら心神喪失や心神耗弱の状態と訴えても、その扱いにならないケースが急増しているようだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)