「養子に出した」どころか… 車と交換されていた2歳女児
子育てをまったく楽しめなかった母親。彼女は車欲しさのあまり、平気で我が子を手放した。
ある日ピタッと途絶えてしまった赤ちゃんの泣き声。「里子に出したの」と母親は近隣住民に説明した。そして別の町では、ある家庭で突然赤ちゃんの泣き声がするようになり、家人は嬉しそうに「養子を迎えたの」と説明していた。だがその実情は…。
■違和感に医師が通報
米国ノースカロライナ州デヴィッドソン郡のトーマスビルという町で今年7月下旬、ウェイク・フォレスト・バプティスト・ヘルス医療センターという病院に、2歳の女の子が打撲傷で運び込まれた。
その後、女の子を診察した医師はティナ・マリー・チャヴスという「実母」を名乗る47歳の母親に関し、不審な点があるとして警察および児童保護サービスに通報。母親なら当然即答できるようなことを彼女はうまく答えられなかったからだった。
■娘が欲しかった養母
警察と児童保護サービスが連携して調査を進めていくと、隣町に暮らすアリス・リアン・トッドという45歳の女の家庭から昨年、1歳にもなっていない女の子が忽然と姿を消していたことが判明した。
あまり子供をかわいがっている様子もなく、里子に出したと聞いても周囲の人々はなんら不思議に思わないような印象の母親だったという。
一方で、警察がチャヴィスに娘との関係について問いただすと、「本当は養子に迎えた」と説明。そのため警察は養子縁組手続きの書類提示を求めたが、それにも応じられなかったという。
■車が欲しかった実母
こうしたことを受け、一般的かつ常識的な養子縁組の手続きを踏んだようには見えないと判断したトーマスビル警察。彼らは双方の家庭に関して厳しく問い詰めていくうちに、驚きの事実を突き止めた。
実母のトッドは、子供が欲しくて仕方がないチャヴィスに幼い我が娘をなんともあっけなく譲渡していたのだ。「代わりに」と受け取ったのはお金ではなく車。供述の通り、トッド宅の敷地には1993年製造のプリムス・レーザーがあったという。
■それは違法な人身売買行為
女の子はチャヴィスの元で大変かわいがられて育っており、隣人もそう証言していた。
だが3名がしていたことは未成年者の人身売買行為にほかならない。このたび実母のトッド、車を引き換えに娘を譲り受けていた養母のチャヴィスおよびその夫のヴィセンシオ・メンドゥーサ・ロメロ(53)が、そろって逮捕・起訴された。
それぞれに日本円にして約534万円の保釈保証金が設定され、今月21日に裁判所への出廷が予定されている。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)