英国の中国人観光客誘致策が話題 名所に「しゃがむタイプの便器」設置へ
トイレは誰もが清潔に使用できるタイプが一番ではないだろうか。
日本の有名トイレ・ブランドがショールームを開設し、都市部のホテルやショッピングモールはすでにハイレベルな洋式トイレを導入している今の中国。地方にもその動きはどんどん広がっており、この国のトイレ事情はまさに今が過渡期といえそうだ。
■しゃがむトイレを導入する英国ケンブリッジ市
今や、世界の有名観光地はどこも中国人団体客だらけ。彼らは5つ星ホテルを好み、観光のほかに高級ブランド品のショッピングにも余念がなく、次々と大金を落としてくれるだけにどこでも「熱烈歓迎」を受けている。
そんな中、英国のケンブリッジ市が「もっと中国人観光客に来てもらおう」という発想から、「しゃがんで用を足すタイプのトイレ(日本でいう和式トイレ)」を新しく設置するそうだ。
■「中国人が喜ぶから」と市議会
ケム川が流れる穏やかな街ケンブリッジは、ロンドンからやや北に離れているが有名な観光名所だ。
伝統を感じさせる図書館、美術館、博物館ほか、校舎がそれは美しいキングス・カレッジやセント・ジョンズ・カレッジ、そして「ニュートンのリンゴの木」で知られるトリニティ・カレッジなどが有名な、あのケンブリッジ大学がある。
中国からの団体旅行客を乗せた大型バスは大学の図書館脇となるシルバー・ストリートに停まり、そこの公衆トイレで用を足すと見学がスタートする。
来年秋からそのトイレの改修工事が始まるが、ケンブリッジ市議会は「中国人観光客にアットホームな雰囲気を」として、そこにしゃがむタイプの便器を導入することを決めた。
■近年の中国人観光客は…
中国のメディアの中には、この話題を「ケンブリッジ市が中国人観光客を熱烈に歓迎」「古代からヒトはしゃがんで排便するのが一番」などと嬉しそうに報じるところもある。
だが中国の都市部には日本の有名トイレ・ブランドがショールームを開設しており、日本を訪れた中国人が家電量販店で温水洗浄便座を買い求める姿も珍しくなくなった。
現に日本の観光地の公衆トイレでは、中国人女性観光客の多くが和式トイレではなく洋式トイレを好んで利用しているようにも見える。使用方法の周知徹底が進んだのか、流さない、使い方が汚いといった問題もここ数年でほぼ解消されたのではないだろうか。
■清掃スタッフもウンザリ?
しゃがむタイプのトイレのほうが好きだ、と言う人ももちろんいる。だが、しゃがんだり立ったりがキツいため足腰が弱っている者は敬遠しがちなうえ、飛び散れば足元が不潔になりやすく、これは清掃スタッフをもウンザリさせるはずだ。
ケンブリッジ市議会のメンバーは恐らくそのあたりを知る由もないのだろう。本当にその方向性でよいのか、あと一歩踏み込んだ調査が行われていれば…という気がしないでもない。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)