韓国の産科医が誤って妊婦に中絶手術 ずさんな本人確認でカルテ取り違えか
怠慢な作業や怠惰な精神状態。医療機関では「慣れすぎ」こそが命取りに。
受付番号、名前、そして生年月日などで、患者さんとカルテを照合する「本人確認」を徹底させている病院はますます増えている。それを怠れば、時にはこのようなアクシデントが起きてしまうからだ。
■被害者は妊娠を喜んでいた女性
韓国ソウル市の江西(カンソ)区にある産科クリニックで先月7日、患者の本人確認が行き届かなかったせいで、妊娠6週の妊婦に誤って中絶手術が行われてしまった。
その妊婦には注射での栄養剤投与が予定されていたが、麻酔剤を注射されて眠ってしまったため、処置直前の再度の確認もなく堕胎のための手術が行われたという。
■カルテと患者を誤認
苗字の4割が金さん、李さん、朴さんといわれている韓国では、医療機関の利用、役所、保険会社、金融機関などの各種手続きにおいて、氏名、生年月日や住所でしっかりと本人確認することが何より重要といわれてきた。
それだけに、この医療過誤はきわめてずさんな人為的ミスが原因と言わざるを得ないだろう。ソウル市警が本格的な捜査を進めた結果、現在は医師1人と看護師1人が業務上過失致傷の容疑で取り調べを受けているという。
■海外のあるまじき医療過誤事例
2014年には米国アラバマ州の大病院で、包茎を治療する手術を受けた男性が手術でペニスを失った。診断した医師のいる泌尿器科と執刀医のいる外科の間で、正しい情報交換と連携がなされていなかったことがわかっている。
また2015年にはメキシコ・ソノラ州の大病院で、悪性腫瘍が生じた1歳男児の左目について眼球摘出手術が行われたが、執刀医が左右を誤認。健康な右の眼球を摘出して乳児は両側の視力を失った。
■実績数が多くても油断は大敵
またカナダでは昨年11月、実績数では定評のあるクリニックで生後9日の男の子が割礼の施術を受けたが、そこでとんだミスが起きていた。
インターンが割礼を行ったところ包皮のみならず陰茎の先端も切り落としてしまい、男児はすぐに大病院に救急搬送された。傷口の縫合と治療により泌尿器としての機能は保たれたが、切り落とした部分の接合は不可能だったという。
こうしたケースはいずれも後に高額の損害賠償を求める裁判が起きている。指示や確認事項はできれば復唱するなど、医療行為は常に慎重かつ正確であってほしいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)