子宮・膣を2つ持って生まれた女性 それぞれに赤ちゃんを宿し双子も出産
女性の5パーセントほどが、じつは子宮に「奇形」があることをご存じだろうか。
子供を産み育てる機能が備わっていることもあり、女性の身体はとてもデリケートで神秘的。そして珍しい妊娠・出産の例が報じられることも少なくない。今、また新たなる話題が世界中を仰天させている。
■子宮が2つの「重複子宮」
「私は子宮、子宮頸部、そして膣を2つずつ持って生まれました。子宮奇形の一種だそうです」と語る、オーストラリア・メルボルン在住の34歳の女性。
初潮は14歳だったが15歳にしてひどい月経痛に苦しむようになり、「多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群」と診断されていた。ところが16歳の時、詳しい超音波検査が行われて「重複子宮」が判明したという。
「性生活に支障が出ないように」と配慮した医師は、彼女の膣と子宮頸部を二分している壁をレーザーで取り払ってくれたが、子宮体部はいじりようがないとのことだった。
■妊娠を勧めなかった医師
左右に分かれている子宮の内腔はそれぞれ平均よりずっと小さく、医師からは「妊娠・出産は困難でしょう」と言われていたその女性。だが夫とともに彼女はあえてそれに挑戦した。
2014年6月に3,090グラムという標準の体重で誕生した女の子は現在5歳、続いて誕生した男の子も3歳になり、ともに順調に成長している。
昨年6月5日に誕生した双子の女の子たちも1歳の誕生日を迎えたが、1人は先天性横隔膜ヘルニアのため生後5日目に手術を受けており、長期にわたりその観察が続けられているという。
■インプラント避妊法で失敗
その双子の赤ちゃんが授かったのは、じつは避妊の失敗によるものだった。女性はその時のことをこう話している。
「ピルでは頭痛に耐えられなくなり、マッチ棒のようなものを皮下に挿入する『インプラント避妊法』を試してみたのです」
「その避妊法の有効性は99%以上などと言われているようですが、私はそのわずかの失敗例。挿入後3週間で妊娠してしまったのですから」
「双子ということもあり、妊娠19週以降は流産や早産を防ぐために絶対安静を守りました」
興味深いのは、双子を含む女の子は全員右側の子宮で育ち、男の子は左側の子宮で育ったことだという。
■重複子宮を持つ女性の割合
世界保健機関(WHO)は5パーセント、つまり女性の20人に1人において子宮の奇形が認められるが、大半のケースで治療は不要だとしている。ただし、この女性のような「重複子宮」が発生する確率は3,000人に1人。特に珍しい奇形だそうだ。
子供が大好きだという警察官の夫とは、結婚17年になるその女性。左右2つの子宮それぞれが生殖機能としての役目をしっかりと果たしてくれたこと、帝王切開術が出産を可能にしてくれたことに感謝しつつ、今は4人の幼い子の育児を心から楽しんでいるという。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)