左派だけでなく右派の支持も 「れいわ新選組」躍進の理由と今後の展望
今年の参院選比例区で特定枠を活用し、2議席を獲得したれいわ新選組。その躍進の背景とは。
■「特定枠」の活用は巧妙
———ふなごやすひこさんや木村英子さんといった重度障碍者を「特定枠」で比例の1位・2位に登載したことはどう評価しますか。
金子:選挙区の合区であぶれた議員を「裏口」から当選させるために自民党主導で設けられた特定枠を逆手に取り、選挙運動のできない重度障碍者を国会に送り込むというれいわの手法はじつに巧妙だと思います。
議会制民主主義においては「数こそ力」であり、世間の同情を集めて得票を増やそうとしたということでしょう。既成政党が芸能人やスポーツ選手を候補として擁立するのと同じことです。
「障碍者を利用しているだけだ」という意見もあるようですが、それは障碍者を「庇護すべき無垢な弱者」という先入観に囚われた考えではないでしょうか。
重度障碍者だって健常者と同じ人間ですから、ギブ・アンド・テイクの論理が成立します。そうである以上、山本代表が同情票を得るべく重度障碍者を利用したことは事実でしょうが、重度障碍者が自らの主張を実現すべく山本代表を利用したとも言えるでしょう。
■右派がれいわを支持する背景
———右派の一部には条件つきで《れいわ新選組》を応援するという運動がありましたが、どう思われますか。
金子:私の周りで右派を自任する人にも、れいわに期待している人はいます。安倍政権は右派的と思われがちですが、その本質はグローバリズム・新自由主義で、TPPにしても移民受け入れにしても、やっていることは国家という枠組を否定することばかりです。
冷戦終結後、世界を隔てる政治的な壁がなくなり、自由主義経済の論理に基づいて国境を越えた経済活動が行われやすくなりました。
それを背景にして生まれたのは、グローバルな経済活動を推進すべきというグローバリズムであり、その妨げになる規制を排除すべきという新自由主義ですが、これは「国家を守る」という右派の主張と相容れません。