左派だけでなく右派の支持も 「れいわ新選組」躍進の理由と今後の展望
今年の参院選比例区で特定枠を活用し、2議席を獲得したれいわ新選組。その躍進の背景とは。
7月に行われた参院選で2議席を獲得した、れいわ新選組。亜細亜大学講師にて「国体文化」編集長、「里見日本文化学研究所」所長の金子宗徳氏にその躍進の理由と、同党が今後どういう道を進んでいくかを解説してもらった。
■負け組の怒りが爆発
———今回の参院選では、れいわ新選組とNHKから国民を守る党(N国党)が躍進しました。まず、れいわ新選組は寄付金4億円以上集めて選挙に臨みましたね。躍進したその要因・背景は何だと思いますか?
金子:端的に言えば、「『負け組』の怒り」でしょう。れいわ新選組は、「ロスジェネを含む、全ての人々の暮らしを底上げします!」というスローガンを掲げ、「最低賃金の時給1500円への引き上げ」・「デフレ脱却給付金」といった左派的な経済的弱者救済策を示しました。
その実現可能性はともかく、経済的な不安を抱えている人々にとっては魅力的な主張です。「一億総中流」と言われたのも今は昔、日本社会の経済格差は拡大しつつあります。
今や、約1000万人強が年収200万円以下のワーキングプアです。年収200万円ということは手取りにして月15万円。それでも大変でしょうが、それより少ない人もいるわけです。
その一方、大企業の経営者は数億円の報酬を受け取っている人もいます。その上、彼らが何をしたかと言えば、数万人単位のリストラでした。
■雇用変化の皺寄せに
雇用流動化のための政策が、結果的に一部世代に負担を集中させる結果につながった。
金子:ワーキングプア登場の背景には、雇用形態の変化があります。これは雇用の流動化を推進する意図で進められました。
雇用の流動化には斜陽産業から成長産業への人材移動を促すという側面がありますが、結果的には中高年世代の雇用を守るべく、若い世代に皺寄せが来ました。
最大の被害者は、バブル景気崩壊後の不景気と重なった「ロスジェネ」すなわち「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれる30代後半から40代にかけての世代です。
私自身もロスジェネに含まれますが、この世代は若くしてバブル景気のツケを払い、老いても年金を受け取れるか定かではない。そうした世代の遣り切れない思いを代弁しようとしたことが共感を呼んだのでしょう。