養育費もらわず孫を育てる祖母 離婚する息子夫婦を「身勝手だ」と提訴
「早く孫の顔を」と望んだ祖父母に、養育も金銭負担も頼った息子夫婦。しかし9年の月日が流れ…。
共働きで多忙な息子夫婦に代わって孫をかわいがり、赤ちゃんの頃からずっと世話してきたという女性。若夫婦はそれを当然のことと捉え、祖母にすべてを丸投げしていた。
■孫を預けたまま息子夫婦は離婚
1歳から9歳になる現在まで息子の子供(孫)を育ててきた中国四川省在住の女性が、このほど息子夫婦を提訴した。
今年4月、子供を預けっぱなしにしている実家に戻り、妻と離婚するつもりだと母親に伝えた息子に、母親は「あまりにも勝手すぎる」と激怒。これまで孫を育ててきた養育費として、日本円にして300万円余りを請求する裁判を起こした。
孫は目に入れても痛くないほどかわいい存在だが、「それとこれとは話が別」としている。
■経費はすべて祖母が負担
都会で忙しく働く男女が結婚し、赤ちゃんが生まれるとどちらかの母親(祖母)に預けて育ててもらう、我が子のもとに戻るのは「春節」の連休くらい、というのは現代の中国ではありふれた光景だ。
問題は、この家庭ではその子にかかる生活費、食費、医療費、学費まで全てを祖母が負担してきこと。裁判で判事は息子に150万円ほどを母親に支払うよう命じたが、不満そうな顔を見せる息子に対し、嫁は「自分が支払ってもいいから離婚したい」と主張したという。
■「ちゃんと送金を」とネチズン
微博(ウェイボー)でもこの話題は炎上。若夫婦の無責任さや図々しさを批判するコメントが圧倒的に多いが、若夫婦を擁護する声もわずかにあるようだ。
「普通こういう夫婦は実家に送金している。実家がたとえ裕福だとしてもね」
「親しい仲にも礼儀あり。最初の段階できちんと取り決めを」
「祖母はもっともらうべき。乳母を雇ったらこんな額じゃ済まない」
「祖父母が『全面的に面倒をみるから早く孫を』とプレッシャーをかける例も多いから、若夫婦だけが悪いとは思えない」
■孫の世話はさせるが介護はイヤ?
中国ではこうした子供たちを“留守児童”と呼び、その数は6,000万人を突破している。
70代の祖母が脳性麻痺を抱えた孫を2歳の時から預かり、車椅子を押しながら毎日3キロメートル離れた学校に送迎している様子が広西チワン族自治区から報じられた際は、世界の人々が涙した。
一方で、孫の世話に明け暮れた母親が老いた時、恩も忘れて我が子が知らん顔をするとトラブルになりやすい。2016年10月には四川省の農村部に暮らす70代の女性がそれを理由に子供4人を訴え、物議を醸していた。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)