亜細亜大講師が解きほぐす「NHKから国民を守る党」が国民を魅了する理由
立花孝志代表や「NHKをぶっ壊す!」といったキャッチフレーズの強さについても分析。
■キャッチフレーズの強さ
———「NHKをぶっ壊す!」というシングル・イシューで臨むN国党をどう思いますか。
金子:キャッチフレーズはインパクトが極めて大きいですね。それだけでなく、NHKは庶民から安いとは云えない受信料を取り上げ、編集権を盾にして好き勝手に番組を製作しています。
さらに、職員の平均給与たるや1000万円を超えるらしいですね。こんな「電波貴族」に対する憤懣の表現として共感を集めたのでしょう。シングル・イシューで臨むことについては、政党の在り方という点から考えるべきだと思います。
政党には、特定の世界観を党員に共有することを求める「世界観政党」と議席を確保するための「選挙互助会政党」という二つの在り方があります。
マルクス主義に基づく社会改造を目指す共産党は前者の代表格で、憲法問題という国家の基本問題さえ党内の意思統一のできない自民党は後者の典型です。
■一種の選挙互助会政党
———N国党はそのどちらにも入らない、と。
金子:「NHKをぶっ壊す!」こと以外は各人の自由というスタンスを採るN国党は、一種の「選挙互助会政党」と言ってよいでしょう。この「選挙互助会政党」というスタイルは、「数こそが力」である議会制民主主義において極めて有効です。
逆に言えば、N国党の存在を否定するには「選挙互助会政党」という在り方を否定せねばならず、選挙互助会政党を否定するためには議会制民主主義それ自体を否定せねばなりません。
議会制民主主義を是とする以上、N国党的なるものを認めざるを得ないのです。なお、聞くところによると、NHK問題以外の政策についてはインターネットを通じて支持者の意向調査を行い、その結果に従うことにするという計画も進んでいるそうです。
それが実現したなら、面白いことになると思います。
■賞味期限は6年弱
———最後に伺います。今後N国党はどのような方向に行くと思いますか?
金子:このままNHK問題に進展がなければ、シングル・イシューを掲げる「選挙互助会政党」たるN国党は求心力を失うことでしょう。
その賞味期限は、長くて立花氏が改選を迎える6年弱と見ています。もちろん、二瓶中央区議に対する「脅迫」意見などで立花氏が立件されたりすれば早まるかもしれません。
ただ、その間に、立花氏以外のN国党関係者が存在感を持つようになれば事態は変わってくるでしょう。
私自身は、N国党のみならず、れいわ新選組、さらには別の政治勢力が結集する形で、正しい国体認識に基づく「世界観政党」が登場することを願っています。
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(取材・文/France10・及川健二)