タトゥーの針に健康不安 「有害金属がリンパ節に入り込む」と判明
傷つけた肌にインクを流し込むタトゥーや入れ墨。やはり安全無害とは言い難いようだ。
2017年、タトゥーに使われる顔料が皮膚から体の内部へと染み込んで、ナノサイズのニッケル、クロム、マンガン、コバルトといった微粒子がリンパ節まで到達するとの論文が発表され、大きな話題になった。
なんと「針」も同様に影響をもたらす可能性があるという。
■「安全とは言えない」と専門家
2017年、欧州シンクロトロン放射光施設(ESRF)とドイツ連邦リスク評価研究所(Federal Institute for Risk Assessment)が、蛍光X線測定法を用いた皮膚とリンパ節の検査により、有機・無機顔料であるタトゥーのインクはヒトの免疫機能に影響を及ぼす危険性があると学術誌『サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)』に共同で論文を発表した。
そのうちのドイツ連邦リスク評価研究所が、このほどさらにタトゥーの針に関する研究の結果を報告したことを『ニューヨーク・ポスト』などが伝えている。
黒色と同様、タトゥーにおいて欠かせないのが二酸化チタンを含む白色のインクだが、それを使用したタトゥーの施術においては、針を由来とする鉄、クロム、ニッケルの微粒子までがリンパ節に入り込むことが明らかになったという。
タトゥーだけが害悪ではないものの、リンパ節に微粒子が入り込むと有害物質により免疫機能に異常が発生し、アレルギー発症を引き起こしかねないとのことだ。
■アレルギー誘発の可能性
これらの物質を、私たちはじつは日々の生活において微量ながら食品や化粧品からも摂取している。
ただ、タトゥーを彫っている者についても腕に1箇所という者から、上半身のほとんどがタトゥーで覆われている者まで面積はいろいろで、使用されるインクの色も様々だ。
そうしたことから、インクの種類ごとに数十年という長期的な観察や調査がさらに必要であり、安全か危険かという点での結論が出るのはかなり先になるだろうという。
■「家族への愛情」とベッカム
海外では人気歌手から一流アスリートまで、タトゥーに魅せられ、上半身にビッシリと彫ってもらっている有名人は多い。たとえば…。
・ジャスティン・ビーバー
2018年4月、インスタグラムでタトゥーだらけの上半身の写真を公開。懇意にしているタトゥー職人が100時間以上を費やし、丁寧に彫ってくれたものゆえ「これは芸術作品。価値がある」と主張した。
さらに同12月、真っ黒の服を着ているかのような余白も隙間もないタトゥーで埋め尽くされた上半身の写真を投稿し、ファンを仰天させている。
・デヴィッド・ベッカム
最初に彫ったのは腰の部分に長男の名前だった。2000年には妻の名、2003年には次男の名、そして2005年には三男の名を彫っている。鎖骨にはもちろん末っ子である長女の名も。2015年にはその娘が描いた絵まで手のひらに彫ってもらっていた。
すでにかなりの数のタトゥーが確認されているベッカムだが、どれも家族ひとりひとりへの愛情が込められているとのこと。遠征で家庭を離れることが多くても「いつも一緒」という安心感につながるそうだ。
■日本でタトゥー容認派は
日本人においては、かなり好き嫌いが分かれるタトゥー。しらべぇ編集部は全国20〜60代の男女1,363名を対象に、タトゥーや入れ墨がある人と温泉や銭湯に入ることについて意識調査を行った。9割超が「一緒に入りたくない」と答えている。
針やインクの成分による健康への影響を懸念する以前に、日本においてタトゥーは市民権を獲得することすら「まだまだ」という印象がある。彫ろうかどうか迷っている人に、これからは「安全無害ではないらしい」という点も教えてあげたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)
対象:全国20代~60代の男女1,363名(有効回答数)