戦闘員が空爆ドローンで自爆ミス 重要機能を忘れていたか
最新ドローンを使いこなせなかったIS戦闘員。愚かにも「空飛ぶ爆弾」で自爆を遂げた。
「イスラム国(IS)」掃討作戦における有志連合軍としての勝利宣言とは別に、イラク北部のモスルでイラク軍兵士の訓練にあたっている英国陸軍。彼らはIS戦闘員による空爆ドローンにいまだ苦しめられているが…。
■空爆ドローンとの闘い
イラクのアバディ首相や米国がIS掃討作戦について2017年に勝利宣言をしていた通り、英・米・イラク軍などによる有志連合軍対イスラム国(以下IS)との激しい戦火は、ひとまず鎮火したイラク北部の都市モスル。
ただし英紙『ザ・サン』は、空爆ドローンを用いたISによる無人機攻撃が、特殊空挺部隊SASを含む英陸軍を今なお苦しめていると伝えている。
彼らは現在も『オペレーション・シェイダー (Operation Shader)』と呼ばれる作戦の下、モスルでイラク軍兵士の訓練にあたっているためだ。
■愚かなドローン自爆の原因
そんな中、軍関係者より興味深い話題が同メディアに提供された。数ヶ月前、ISの戦闘員が自ら操作していたドローン爆撃機により、愚かにも自爆を遂げたという意外な情報が地元の人々から入ったというのだ。
原因はドローンの充電不足。バッテリーが尽きたところで墜落すれば場所によっては回収不能になるため、最近のドローンはバッテリーの残量が怪しくなると、ブーメランのように自動的に離陸点に戻る「リターン・トゥ・ホーム(Return To Home/RTH)」という機能が備わっている。
これが働いたことでドローンはIS戦闘員の元に戻り、容赦なくその身体を吹き飛ばしたという。
■ますます機能が増えるドローン
どんどん高性能になっていくドローン。ドローンに手りゅう弾や手製爆弾を括り付けて空爆することから、「空飛ぶ爆弾」と呼ばれるようになった中国DJI社の『Phantom』シリーズは、今や障害物回避、自動追尾、高速飛行化まで実現させるなど業界でも常に最先端を行っている。
充電不足という致命的なミスを犯したそのIS戦闘員だが、自分が操作しているドローンについて説明書を隅から隅まで読んでいたのだろうか。口頭で教わるだけで、じつは知識が追い付いていないという者も多いのかもしれない。
■空爆ドローンへの対抗手段は
それにしても手ごわいIS、そして空爆ドローン。英陸軍の兵士がどこで活動しているのかIS戦闘員にはかなり把握されているといい、最大で4.8キロメートル離れた場所から攻撃を仕掛けてきたこともあるという。
空爆ドローンに関し、その軍関係者は「発見や狙撃は非常に困難だ」と説明している。これだけ各種の戦闘技術やレーダーが発展しても、今なお対ドローンとなると戦法は「操縦しているIS戦闘員を見つけ次第すぐに殺す」のみだそうだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)