パイロットが酒気帯びで降機 離陸寸前のスッタモンダに乗客カンカン
大勢の命を預かるという自覚はどこに。また酒気帯びパイロット逮捕の話題が…。
またしても「パイロットが酒気帯びで乗務できず」というニュースが伝えられた。しかもそのスッタモンダは、すべての乗客の搭乗が済み離陸間近という旅客機で発生しており、彼らの怒りと失望感は非常に大きい。
■酒臭かった37歳のパイロット
米国ミネソタ州のミネアポリス・セントポール国際空港で先月30日、離陸準備に入っていたデルタ航空の旅客機から、37歳のパイロットが酒気帯びにつき降機を命じられた。
ミネソタ州の法律では、乗務にあたるパイロットや客室乗務員におけるアルコール呼気検査は、制限基準値を0.04と定めており、アメリカ連邦航空局(FAA)は飲酒後8時間が経過していないパイロットの操縦を禁じている。
そのパイロットはこれらの条件をクリアできず、手荷物からアルコール飲料の空の容器が確認されたことから問答無用の降機となり、いったん当局に身柄を拘束された。
■不自然な行動が疑惑を生む
その旅客機は当時すべての乗客が搭乗を済ませており、目的地のカリフォルニア州サンディエゴに向けて離陸の準備に入っていた。
『FOX NEWS』『CNN』などが報じたところによれば、問題のパイロットは米運輸保安局(TSA)が実施する各種スクリーニングのラインから一旦離れ、そのソワソワとした雰囲気が周囲に不信感を与えた模様。
しばらくすると戻り、検査をさっと済ませてコックピットへと急いだが、そこに「待った」が入ったという。離陸直前のスッタモンダに乗客らの怒りは大きい。
もっと早い時点でそのパイロットの飲酒が発覚し、空港でスタンバイしている別のパイロットが交代していれば、ブリーフィングも新しいメンバーで行われるため、表向きには何の支障も生じなかっただろう。
■コックピットで醜い騒動
このたびの一件のように、離陸直前の逮捕劇で乗客らが大変な迷惑をこうむるという例が海外ではまれに起きている。数例を紹介してみたい。
・メキシコのカンクンへ向け、離陸直前だったカナダの格安航空会社「サンウィング航空」のコックピットで、37歳のパイロットが気絶。泥酔と判明して逮捕された。(2016年12月 カナダのカルガリー国際空港で)
・韓国のソウルから米ニューヨークに向かうため、離陸の準備に入っていたアシアナ航空機のコックピットで、パイロット2名が殴り合いの大喧嘩。
フライトは1時間の遅延が発生し、負傷した1人は病院に運ばれた。1名はそのまま操縦かんを握っていたことがわかり、「そのような心理状態で乗務するとは」と物議を醸した。(2016年12月 韓国の仁川国際空港で)
・インドの国営航空会社エア・インディアの旅客機で、パイロットが離陸前に自宅から持参した弁当を食べ、「弁当箱を洗ってくれ」と客室乗務員に頼むも拒否されて大喧嘩に。
警察の事情聴取を受けるため両者とも降機となり、フライトは2時間以上の遅延が発生した。(2019年6月 ケンペゴウダ国際空港で)
ご承知のとおり、「パイロットが酒臭い」として逮捕される事件は国内外で何例も報じられており、枚挙にいとまがない。
■操縦も運転も飲酒は絶対にダメ
飲酒後の操縦も恐ろしいが、もっと身近なところで起きているのが飲酒運転だ。しらべぇ編集部が以前、全国20代~60代の免許保有者1061名に調査したところ、全体の27.2%が飲酒運転の経験ありと回答。50代男性が最もそれを経験していることがわかった。
飲酒運転は「違法行為」につき初回で免許取り消しとなる。これを犯せば3年、5年以下の懲役、または100万円以下の罰金が言い渡されるという事実を誰もが強く認識してほしい。飲んだら乗るな、そして飛ばすな、だ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ
対象:全国20代~60代の男女1,362名(有効回答数)