ドッジボールが顔に当たった友人が負傷 10歳男児が訴えられる展開に

ドッジボールは確かに危険が伴う。それだけに裁判官がどう判断するか注目が集まっている。

2019/08/02 11:00

ドッジボール
(paylessimages/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

このたび小学生のドッジボールで大きなトラブルが発生した。訴えたのはアメリカの白人の家庭で、訴えられたのはわずか10歳の黒人の少年。現地では実名で報道されていることもあり、物議を醸している。


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■顔面にボール直撃で脳震盪

今年4月29日、デトロイト市郊外となるミシガン州カントンのラス・エリクソン小学校(Ruth Eriksson Elementary)で、児童が校庭でドッジボールをしていたところ、顔にボールが当たって倒れた白人の10歳児が脳しんとうを起こした。

これに両親が激怒し、ボールを投げた黒人の10歳男児が訴えられたという。

「訴訟王国のアメリカならでは。嘆かわしい」という声もあれば、「少年が黒人だから訴えられたのか」という声も。いずれにせよこのニュースに不快感を示す人々は多い様子だ。

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■「顔面を狙う癖」があった少年

ドッジボールに限らず、体育の授業、校庭での遊びやPTAのスポーツ交流活動においても、このようなアクシデントは稀には起きてしまう。

そうした不測の事態に備えるため児童やPTAは傷害保険に加入するものだが、子供が脳しんとうを起こした側の家庭は「そういう問題ではない」としている。

訴えられた少年にはターゲットの顔面を狙う傾向があり、そのアクシデント以前にも2度ほど相手の顔にボールを当てていた。

少年は相手が倒れこむとすぐに謝罪したというが、少年を訴えた家庭は「こう何度も同じことが続くようでは、その危険な投球は意図的で執拗な攻撃だ」と主張している。

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■訴えられた少年の母親の心情

訴えられた少年の母親が、このたびデトロイトのメディア『WXYZ-TV/7 Action News』の取材に応じた。彼女は苦悩に満ちた胸の内を、このように吐露している。

「ドッジボールは私たちの誰もが幼い頃、夢中になって遊びましたよね。まさかボールを投げた子が訴えられるなんて、想像もしませんでした」


「ウェイン郡少年裁判所から電話がきて、わが子が訴えられたことを知り、私は激しいショックを受けました」


「相手を負傷させる目的で、息子はわざと顔面を狙い強く投げていたと疑われたようで、相手の両親はこの件が加重暴行に相当すると主張しているようです」


「目の周りにアザができ、鼻を怪我させ、脳しんとうを起こしてしまったお子さんには、心から申し訳ないと思っています。ただ、こういう問題は法廷などではなく、校庭あるいは学校内で解決してほしいと望むだけです」


息子の弁護士費用は日本円にして50万円近くにのぼるといい、母親はクラウドファンディングにページを開設し、善意の人々に募金への協力を呼び掛けている。


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■その攻撃は「暴行」に相当するのか

頭部を狙ってはダメだと指導しても、頭部に向かってボールが飛ぶことはある。もしもそのボールを投げた子供が有罪判決を受けるのであれば、全米のPTAが「裁判沙汰になるから」という理由でドッジボールそのものを禁じる動きに出る可能性が出てくる。

訴えられた男児は8月1日に市内の少年裁判所に出廷する予定だ。裁判官がこの一件をどう捉えるのか、全米の教育関係者、保護者、それにドッジボール好きの子供たちが固唾をのんで見守っている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ

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