「ギャーッ!」 若者が同じ時間に街で一斉に叫ぶワケ
若いからこそOK。若くもないのに大声で喚き、絶叫するのはイタすぎるかも…
夜の街で若者たちが一斉に大きな声で喚き、叫ぶ。つい恐ろしい光景や繁華街の治安の悪さなどを想像してしまうが、そうした状況とも異なるという。北欧の街から興味深い話題が伝えられた。
■静かな夜の街に響きわたる絶叫
スウェーデンのウプサラ県にあるフログスタという地区。ここでは毎日、夜10時になると静かなはずの街に若者の絶叫する声が響き渡る。
部屋の窓を開け、外に向かって大声で叫ぶのはウプサラ大学に通う若者たち。試験を控えて勉強がとにかく忙しく、寮に缶詰めとなりスポーツをするヒマすらない。そんな状況下で彼らは思い切り「絶叫」し、ストレスを発散しているのだ。
これは街の人々に受け入れられながら50年近く続いている慣習で、『フログスタ・スクリーム』という名で呼ばれている。「フログスタならではの伝統」と表現する人も多いそうだ。
■「若者はどんどん叫んで」と人々
この珍しい現象は1970年代、スウェーデンのスコーネ県にあるルンド大学の学生から始まった。彼らは溜めこんでいるストレスの健全なはけ口として、一斉に「叫ぶ」ことを奨励。それが他の大学にも次々と伝染し、ウプサラ大学の学生たちの間にも広まった。
2006年にはいったん途絶えてしまったが、またすぐに復活した『フログスタ・スクリーム』。それが叶ったのは、街の人々が寛容な気持ちで若者たちを見守ってくれていたからだ。
午後10時になると若者たちの一斉の叫び声でいきなり破られる夜の静寂。だが街の人々は若い人ほどストレス発散が大事だと理解しており、叫ぶことで健全な憂さ晴らしをしてほしいと考えているという。
■叫ぶことの重要性
闘うために必要なアドレナリンを増加させる目的としても大切になる「叫ぶ」という行為。スポーツの試合で選手たちはたびたび大きな叫び声をあげる。
ポイントをあげた際の誇らしげな雄叫びもあれば、ミスして弱気になっている自分に喝を入れるために叫ぶことも。また怒りや苛立ちで悪化するムードをリセットするため、天に向かって何やら叫ぶ選手も多い。
また、痴漢ほか恐怖に直面した女性は、助けを求めるために大声をあげたほうが良い場合がある。ところが「その場にへたり込むばかりで声が出なかった」という女性はとても多いといわれている。
■叫んだ経験がない女性も
なんと「一度も叫んだことがない」という若い女性は意外にも多いようだ。しらべぇ編集部が全国20〜60代の男女1352人を対象に調査を実施したところ、「キャー」と叫んだことがある人は全体で25.2%。恥ずかしさがあるのか、男女とも若いほど声が出ない傾向にあるようだ。
身を守るためにもストレスの発散のためにも、時には必要な「絶叫」。ただし、むやみに叫び声をあげれば精神面の問題を抱えていると疑われるだけ。できればスポーツおよび応援、あるいはテーマパークなどで思い切り叫ぶ練習をしておきたいものだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ
対象:全国20代~60代の男女1,352名 (有効回答数)