「コラ、起きて動け」 動物園のパンダに見学者が起こした迷惑行動
入場料を支払えば人間は動物たちに何をしてもよいのだろうか。そんなはずはない。
動物園の檻の中にいる動物たちは、もっと広い野原、池、山などで暮らしたいと常に思っていることだろう。少しでもストレスを減らし、幸せな一生を送ってもらえるよう祈るばかりだが…。
■「ダラダラするな、動け」と男
広いエリアに数多くのパンダがいると評判で、家族連れも多い北京動物園からショッキングな映像が流出した。身勝手で横暴な男による呆れた動物虐待行為に波紋が広がっている。
1匹のパンダが座って休んでいたところ、「ダラダラしている」と不満に思った見学者の男。小石を手に取るとそちらに投げつけ、「ホラ、起きろ、動け」などと威嚇。公開された映像では、股間に石がぶつかったそのパンダが驚いた表情を見せている。
■ネットは「厳罰を」と炎上
その情報を聞きつけた動物園は防犯カメラの映像を分析したが、石を投げた男は現時点では捕まっていない。これに微博(Weibo、ウェイボー)では「犯人をどうしても捕まえて厳罰を」と炎上する事態に。中国人にとってパンダは国民的アイドルかつ宝物なのだ。
ネット上での怒りを鎮めるため、北京動物園はすみやかに「パンダには幸い怪我はありませんでした」と説明するとともに、「パンダの安全を確保するため、すみやかに周辺の柵を強化します」と約束している。
■「金を払ってるんだ」と横暴な人々
動物が活発に動くような時間帯ではない、あるいはうだるような暑さで休んでいるところに、「動け」「歩いてみせろ」などと怒鳴りながら石を投げつける野蛮な行為。中国では残念ながら過去にも同様の事件が多数起きている。
・動物園のアフリカゾウに見学者の男が投石。怒ったゾウはその石を拾うと見学者の方向に投げ返し、女性の頭に軽傷を負わせる。(2012年4月 湖北省武漢市で)
・カンガルー2頭が石やレンガを投げつけられて死亡。投げた見学者は「眠ってばかりいてつまらないから、目覚めさせようと思った」と話す。(2018年4月 福建省の福州動物園で)
・7歳のパンダに観光客の数名が石を投げつけ、係員の注意を無視したことからブラックリストに登録されるとともに、その場から追放される。(2018年7月 陝西省漢中市の佛坪熊猫谷景区で)
・絶滅危惧種のイリエワニが石を投げつけられ、頭や胴体から血を流す。投げた見学者は「動いてもっとこっちに来てくれれば、ワニとイイ感じで写真が撮れると思った」と話す。(2018年10月 福建省アモイ市の海滄野生動物園で)
こうしたことをする人間は、注意を受けた際に「高いお金を払って見に来てやったのに、エラそうにするな」などと係員に逆ギレすることも多い模様だ。
■動物虐待には厳罰を
パンダに石を投げつけた男を、北京動物園としても見逃すわけにはいくまい。しらべぇ編集部では、全国の20代~60代の男女1,537名に動物虐待への刑罰に関する意識調査を実施した。現行法の刑罰は軽すぎるとして、厳罰化を望む人は65.1%にも上るようだ。
痛みや恐怖を感じ取っても言葉で訴えられない動物をいじめる卑怯な行為。これは決して許されるものではない。
・合わせて読みたい→大阪市が導入の餌やり規制条例 住宅街などでの餌やりは迷惑行為?
(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ
対象:全国20代~60代の男女1,537名 (有効回答数)