危険なナッツ・アレルギー訴えた乗客が強制降機 「ただのワガママ」と言われた理由とは
空の旅ではスナック類や機内食が配られる。食物アレルギーの方はどう自分の身を守ればよいのか…
もうすぐ夏休み。飛行機で遠方へ出かけるという人も多いだろう。だが食物アレルギーがある場合、特に注意しなければならないのが、機内で提供されるスナックや食事だ。
■「ピーナッツ配らないで」
今月7日、トルコ航空の旅客機に搭乗した25歳のイギリス人男性。飲み物とナッツのサービスがあると知り、客室乗務員に「僕には危険なナッツ・アレルギーがある。配るのをやめてほしい」と離陸前に声をかけて悶着になった。
「それはあなたのワガママ」と客室乗務員。「これは命にかかわること」と男性も必死であったが、通報を受けて乗り込んできた空港警察の職員により強制降機となった。
550英ポンド(日本円にして約7万5,000円)を支払い別のフライトに乗り換えた男性は、怒りが収まらない様子だ。だが、トルコ航空側も「深刻な食物アレルギーは事前に知らせておくべき」として譲る気配を見せていない。
■アナフィラキシーショックも
たとえば2017年、シンガポール航空の旅客機では、周囲の乗客がスナックのピーナツを開封しただけで3歳児がアナフィラキシーショックを発症してしまった。この事例を重く見て、シンガポール航空では現在ピーナッツの配布を行なっていない。
また公式HPでは「ナッツ・アレルギーのあるお客様へ」として、出発便の少なくとも48時間前までに申し出てくれれば、ナッツ類を除外した食事やスナック類を提供すると案内している。
■完全に排除は期待できない
そのシンガポール航空ですら、機内食の「サティ(ピーナッツ・ソースを添えた東南アジアの名物肉料理)」が高い評価を得ており、それを楽しみにして利用する客も多い。
そのため、1人の客に「ピーナッツの成分が空気中に浮遊することすら怖い」と言われたところで、人気のサティを機内食から外すとは考えにくい。
また、ほかの乗客が個人で買ったピーナッツを持ち込み、機内で頬張ることもある。つまり機内から完全にナッツ類を取り除くことは難しいのだ。
■食物アレルギーは1割強
しらべぇ編集部が全国20代〜60代の男女1,348人を対象に調査したところ、全体の1割強が、「自分や家族が食物アレルギーがある」と回答している。
食物アレルギーがある人は、航空券を購入する前に航空会社などに相談し、スナック類や機内食に関する提案や説明をよく聞いた上で、納得しておくことが大切だろう。
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(文/しらべぇ編集部・浅野ナオミ)浅野 ナオミ
対象:全国20代~60代の男女1,348名(有効回答数)