インフルでも出勤強要、同僚は過労死 『ブラック企業エピソード大賞』がヤバすぎる

ブラック企業の体験談を募集するコンテストで1位に選ばれたエピソードが、想像を絶していた。投稿者は転職に成功したものの…

■弁護士の見解は…

早野述久弁護士

この企業の場合、法的にはどのような問題があったのだろうか。鎧橋綜合法律事務所の早野述久弁護士に聞いたところ…

早野弁護士:朝7時から出勤して店に泊まり込んで翌朝まで仕事をしているのに、定時になるとタームカードを押させられるという前職の異常な労働環境に驚きを禁じ得ません。前職の労働環境には以下のとおり多数の法的問題が含まれています。


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①過労死基準を超える長時間のサービス残業

早野弁護士:まず、雑煮さんの職場では、いわゆる過労死基準である1ヶ月100時間の残業を超える長時間労働が行われています。これが原因で労働者が疾病を発症したのであれば、当然会社の安全配慮義務違反(損害賠償責任)が認められます。


本件では、雑煮さんがストレスで病気になられたとのことなので、その因果関係の立証は必要になりますが、このレベルで長時間労働をさせていた会社の責任が認められる可能性は高いでしょう。過労で亡くなった上司や同僚の方も同様です。


勤めているのが中小企業だったとしても、会社はそれを言い訳にすることはできないという。

早野弁護士:また、雑煮さんのエピソードからすると、このような長時間労働のほとんどがサービス残業であり、残業代が支払われていなかったようです。


残業代や休日手当の支払いは原則としてすべての企業に適用される法律上の義務であるため、中小企業であるからといって支払わなくてよいということにはなりません。


さらに、定時になると社員全員に虚偽のタイムカードを打刻させていたということについては、会社自らが労働時間把握義務(労基法108条)の履行を意図的に放棄し、社員の労働実態を隠蔽する行為であるため違法性が高いといえます。


おそらく36協定の上限を超える残業による労働基準法32条違反も認められるでしょう。これらの法令違反については、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられることになります(労働基準法119条1号)。

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