田代まさし氏、薬物依存と回復について笑いあふれる講演 「シャブ山シャブ子はない」と明かす

元ラッツアンドスターのメンバーでバラエティ番組でも活躍した田代まさし氏。覚せい剤で3度の逮捕を経て4年前に出所。現在は講演の機会も多い。

■「更生」ではなく「回復」を

田代まさし

薬物依存が「病気」だとしたら、本当に必要なのは「回復」。しかしながら、世間の人は「更生」を求めるという。

「薬物で誰かが捕まると、普段出演できないはずのテレビ局からコメントを求められる。撮影スタッフに『更生ではなく回復で』と伝えても、放送では『更生』となっている。『これだけ言ってもダメなんだ』と」


今回の講演のテーマ「寄り添う」は、ダルクのやり方でもある。

「世間は『排除しよう』とするだけ。出所した直後は、仕事もない。小さなマンションを借りようとしたときも、大家のおばあさんが『私はいいんだけど、主人がね…』とか。


薬をやっているときは、誰も止め方を教えてくれなかった。やってるときは止めようとする人と出会わないから。でもダルクで、『止めようとしている人がこんなにたくさんいるんだ』と感動した」


と語る田代氏。ダルクは、全国に約90施設。1000人以上が入所や通いで参加しているが、薬物依存者全体からするとまだごくわずかな割合にとどまっている。


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■刑務所からの手紙に返信も

田代まさし

「ダメなヤツだとみんなに言われ、自分でもそう思っているが、ダルクに入って役目ができた」という。各地での講演の他にも、薬物で服役している人からダルクに「マーシーさん、本当に薬を止めたい」と手紙が届くのだ。

返事は直筆で書くようにしている。また、田代氏の講演を聞いて実際にダルクを訪れた人もいる。

「間違いを正そうとしてるんじゃなくて、仲間たちの手助けをしている。『俺はこういうふうに乗り越えたよ』という経験を伝えたい。役目ができると、『ちゃんとしなきゃ』と思う。目標にされているからには、それなりに頑張らなきゃ」


ドラマで話題となった「シャブ山シャブ子」にも言及し、「よく言われる『虫が体を這いずり回る』といった禁断症状はない。俺の場合はただ寝ちゃうだけ」とリアルな体験談を明かした。


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■前千葉県知事の堂本暁子氏も講演

堂本暁子

田代氏に続いて、前千葉県知事で参院議員を2期務めた堂本暁子氏が登壇。昨年夏、元厚生労働事務次官の村木厚子氏らとともに、ロサンゼルスにある薬物依存者の治療共同体を視察した報告などを行った。

米国では、薬物犯は刑務所での拘禁刑か治療共同体などでの回復プログラムかを選択することが可能だ。共同体は、元依存者ら「当事者」を中心に運営されている。

「日本では、毎年1万人が薬物で逮捕されている中、1000人は運良くダルクと関わることができている」と、国内でも治療共同体の必要性を強く訴えた。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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