閣僚は次々と辞任し、パリでは激しい大規模デモ 低支持率に悩むマクロン大統領の行く末

昨年の仏大統領選挙で30代の若さにして当選を果たしたマクロン氏。当初7割に迫っていた支持率は2割台に低迷し、閣僚の辞任も相次いでいる。

2018/12/08 15:00

■政権発足時に4閣僚が引責辞任

さらに、政権は発足当初から大臣が続々と辞任している。シラク大統領中の側近だったアラン=ジュペ元首相の薫陶を受けたフィリップ氏を首相とする内閣は民間の人気者から多数閣僚を登用。

さらに、社会党・共和党・急進左翼党・エコロジスト・MoDem・共和国前進といったオランド前大統領の与党・社会党やサルコジ元大統領の与党だった共和党からも閣僚を抜擢する超党派の『ドリーム内閣』で、支持率は70%を超えた。

昨年6月には、マクロン新党『共和国前進』と連立政権を組む中道派政党『MoDem(民主主義運動)』党首のフランソワ=バイル司法大臣と同党のマリエル=ド=サルネーズ欧州問題担当相が辞任した。

リシャール=フェラン国土整備相、『MoDem』のシルヴィ=グラール国防相も辞任。バイルー氏は2002年、2007年、2012年に大統領選に出馬して2007年は682万119票(18.57%)も獲得している。辞任した中道派政党「MoDem(民主主義運動)」三大臣はいずれも重鎮だった。

社会党出身のフェラン国土整備相は収賄疑惑や、2011年、地元ブルターニュ地方の医療共済組合幹部だった同氏が、医療センターを誘致する際、入札に当たって夫人が経営する不動産会社に不正に有利な取り計らいをした、という疑惑や、息子を議員助手とし、多額の報酬を公費で支払っていた公私混同疑惑がもたれ、辞任。MoDemの三閣僚は職員の「架空雇用」で辞任となった。


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■脱原発派の人気閣僚も辞任

今年の夏期バカンスが開けて辞任したのが、ニコラ・ユロ環境連帯移行相だった。ユロ氏は人気テレビ番組のプレゼンターとして人気を博して、2012年の大統領選では環境政党『欧州エコロジー=緑の党』予備選に出馬したが僅差で敗れたため、同党から距離をとるようになった。

「自分自身にウソをつきたくない」と言って辞任したユロ氏には、主義主張とは別に、仏国民の84%が拍手喝采を送る。当然、辞任すべきであっても、大臣の椅子にしがみ付いているどこかの国の政治家には、ぜひこのユロ氏の辞任の弁を聞いてほしい。

8月28日朝のニュース専門ラジオ「フランス・アンフォ」の生放送に出演したユロ氏は「政府を去る決心をした」「自分自身にウソをつきたくない」と涙目で辞任を発表。

司会者がビックリ仰天し、「本気ですか!?」と聞き返したが辞任の意志は強かった。マクロン大統領やフィリップ首相には事前に告げなかった。それは「慰留される可能性」があるからと説明。「礼を欠いている」が「妻にも誰にも言わず」辞任を発表した。

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■「政権の看板」になることを拒絶