韓国「徴用工・賠償問題」で個人的請求権はあるのか? 政府・野党代表それぞれの発言は…
韓国最高裁が損害賠償を認める判決で、政府は猛反発。野党は発言に温度差も。
■自由党は「政治決着」要求
自由党の小沢一郎代表は6日の会見で、
「個人的請求権はいいんだけど、『各企業は自発的にやれ』という話なら裁判所はいらない。条約が個人的請求権を消滅させるものではないと日本の裁判所でも認められてるわけだ。
被害者が請求することは自由と思うが、『韓国の裁判所で訴えて、韓国の裁判所で認めたから払わなくてはいけない』という論理構成にはならないのではないか。
それなら、外国の裁判所で日本に関わることで認めたら、日本政府は従わなければならないということになるのではないだろうか。日本の裁判所で請求したらいい。
他国の裁判所が日本の個人や企業に対して、韓国の在住の企業なら別だが、ああしろ、こうしろは言えない。個別の国の裁判所の結論が、他国の国民や企業を法的に拘束する力はないと考える。後は政治問題で決着するしかないのではないか」
とこの問題に触れた。
■共産、社民は日本の責任を強調
日本共産党の志位和夫委員長は、1日の定例会見で、
「日韓請求権協定によって、日韓両国間での請求権の問題が解決されたとしても、被害にあった個人の請求権を消滅させることはないということは、日本政府が国会答弁などで公式に繰り返し表明してきたこと。
たとえば、1991年8月27日の参院予算委員会で、当時の柳井俊二外務省条約局長は、日韓請求権協定の第2条で両国間の請求権の問題が『完全かつ最終的に解決』されたとのべていることの意味について、『これは日韓両国が国家として持っている外交保護権を相互に放棄したということであり、個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない』と明言している。
強制連行による被害者の請求権の問題は、中国との関係でも問題になってきたが、2007年4月27日、日本の最高裁は、中国の強制連行被害者が西松建設を相手におこした裁判について、日中共同声明によって『(個人が)裁判上訴求する権能を失った』としながらも、『(個人の)請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではない』と判断し、日本政府や企業による被害の回復にむけた自発的対応を促した。
この判決が手掛かりとなって、被害者は西松建設との和解を成立させ、西松建設は謝罪し、和解金が支払われた。たとえ国家間で請求権の問題が解決されたとしても、個人の請求権を消滅させることはない。このことは、日本政府自身が繰り返し言明してきたことであり、日本の最高裁判決でも明示されてきたこと」
と述べた。
社民党の又市征治幹事長は、6日の会見で政府も以前は「日韓協定では外交保護権が放棄されたにすぎず、個人の請求権は消滅していない」と国会答弁していたと指摘。
その上で、強制連行された中国人労働者が西松建設、三菱マテリアル両社が基金への拠出という形で補償を実施することで和解した例を挙げ、朝鮮半島と中国との違いはあるものの「日韓両国で叡智を絞って、植民地支配下で日本企業によって侵された被害者の名誉と尊厳を回復するため人道的見地からの解決策を探るべきだ」と述べている。
徴用工の韓国判決は、明らかに日韓両国の政治課題になることは間違いない。慰安婦問題に加えて徴用工賠償問題が急浮上し、日韓関係はしばらく冷え込むのではないかと筆者は見ている。
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(取材・文/France10・及川健二)