結婚休暇を短縮させて出席者も妨害 結婚式を台無しにしたブラック企業の悪徳手口
半年前から相談していた社員に「忙しい時期に結婚するな」と言われても…
■条件の確認が大切
条件については、慎重な確認が必要だと早野弁護士は解説する。
早野弁護士:てむじんさんのケースに当てはめると、勤務する会社の就業規則の規定上は「ほぼ無条件」であったとのことですから、てむじんさんは新婚旅行のための休暇を取得できた可能性があります。
ただし、注意点は「ほぼ」という部分で、本当に無条件かどうかは確認が必要です。例えば、慶弔休暇の取得について就業規則上に「会社側の繁忙期に該当する場合は除く」「上長の許可を要する」等の定めがある場合には、これらの条件を満たさないと慶弔休暇を取得することはできません。
てむじんさんの場合は、当初4月に新婚旅行を予定していたとのことですが、一般に4月は人事的な移動等の社内・社外行事が多く、雇用者側にとって確かに繁忙期だったかもしれません。
■休日の過ごし方について命令は可能か?
では、結婚式への参列を妨害した行為については、問題があるのだろうか。
早野弁護士:さらに、てむじんさんの上司による同僚に対する「忙しい時期に人の結婚式に出るとは何事だ」という言動についても検討します。
てむじんさんの結婚式は、会社の休日に行われたものと予想されますが、その上司は同僚に対して、「てむじんさんの結婚式に出席せずに休日出勤することを命じた」ということになります。
労使間で時間外労働・休日労働に関する労働協約(いわゆる36協定)が締結されており、かつ、就業規則等に業務上の必要があるときは休日労働を命ずることができる旨の定めがある場合には、上司は部下に対して休日労働を命じることが可能です。
しかし、いくらそのような定めがあっても、具体的な必要性がないにもかかわらず部下に対して休日労働を命じることはできません。
■嫌がらせ目的なら違法の可能性も
今回のケースについては違法の可能性もあるが、早野弁護士は、両者の歩みよりについても触れた。
早野弁護士:てむじんさんのケースでも、仮に欠席させられた3人に対して具体的な必要性がないのに休日労働を命じたり、てむじんさんへの嫌がらせの目的で休日労働を命じたといった事情があるのであれば、そのような命令は違法ということになります。
今回のてむじんさんのケースのように、個人の思惑と企業の思惑が対立する場合があります。状況によりけりで本件に該当しない場合もありますが、雇用者と被雇用者自身が、互いに歩みよれるように、一定の配慮をしあうという努力が必要かもしれません。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/<a href="https://zanreko.com/">日本リーガルネットワーク</a>)