大阪地震で「スマホ没収」の名門進学校 闇実態に「時代錯誤」と卒業生も嘆き
大阪北部地震で浮き彫りになる学校の「スマホ対応」。奈良県の某有名進学校では、地震翌日に「スマホ狩り」が敢行されたという。
2018/06/25 12:00
■「校則とスマホ」弁護士の見解は?
今回の地震では、多くの保護者が我が子の安否を心配したことだろう。そこで気になるのが「スマホ没収と、それによって起きうるかもしれない事態」について。
しらべぇ取材班は、しらべぇコラムニストで、レイ法律事務所に所属する高橋知典弁護士に話を聞いた。
①教師が生徒のスマホを没収するのはそもそも法律的にOKなのか?
「教師がスマホを没収することは違法になるのか、ということについては、無理やり取り上げる等の強引な没収はできませんが、校則違反で懲戒処分等の指導ができてしまうので、事実上、OKということになると思います。
以前、地毛が茶髪の女の子を、無理やり黒髪に染めさせた事件でも校則は話題になりました。あの事件はさすがにやり過ぎていると思いますが、一般に学校は、よっぽど酷いことでもない限り、校則を決めて、その校則に違反した生徒に対して退学処分を含む指導を行なうことが許されています。
今回の携帯没収についても、校則で定めているのであれば、携帯の回収に従わない生徒に対して、校則違反を理由に、指導をすることは許されていると考えられます」
■「スマホ没収」でもし災害に巻き込まれたら?
②大阪で地震が起き、余震の危険性もあるなか生徒からスマホを没収した学校があったが、もしこの没収が原因で生徒が災害に巻き込まれたら、学校に責任を追求できるのか?
「先ほどは、携帯没収が許されているという話をしましたが、実際に今回の事例で携帯を没収して、それが原因でもし生徒の命に関わることがあった場合には、学校は責任を負わなければならないでしょう。
学校には、生徒を保護者の代わりに大事にする義務があります。これを安全配慮義務というのですが、この安全配慮義務は、その状況毎に、生徒の生命や身体の安全を守るために変化していきます。
簡単な話、普段は学校内の安全の為に「廊下を走るな」ということも、不審者が校内で追いかけてくるような状況で守れというのでは本末転倒です。特に今回の地震のような大型災害の場合、情報の取得の速さが、生存の可能性を大きく左右することは当然のことです。
この状況の中で、情報源になる携帯電話を生徒から取り上げたのであれば、教員は生徒が収集できた災害情報を代わりに取得して、伝えるくらいの覚悟が必要でしょう。携帯を取り上げた結果、生徒の生命に関わる問題が生じたならば、その責任を負うことになるでしょう」